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コインランドリーとしての活用
近年、街中で見かけることが急速に増えた「コインランドリー」。産経新聞によると、2022年現在で25,000店を突破する勢いです。ミノラスでもテナントの活用として、コインランドリーの運営を行っています。お客様からも、「テナント活用としてコインランドリーにできないか」とご相談いただくこともあります。今後もコインランドリー件数は増加するとも予想されています。
そこで、ここではコインランドリーのニーズ、運営のメリット・デメリットについてお伝えします。テナントの空室でお困りのオーナー様にご参考にしていただければ幸いです。
コインランドリーの歴史とニーズ
コインランドリーは、1930年頃イギリスで発祥しました。その後、アメリカで1955年にコイン式全自動洗濯機が開発されて以降、急速に発展したと言われています。日本では、昭和46~50年頃に国産初のコイン式洗濯機、コイン式ガス乾燥機が開発され、急速に設置台数が増えていきました。では、近年のコインランドリー急増の背景はどういった理由があるのでしょうか。大きな背景として4つお伝えします。
●共働き世代の増加
表1は厚生労働省が発表した、共働き等世帯数の年次推移です。1980(昭和55)年に比べて共働き世帯が多くなっていることが分かります。共働きになると、夫婦ともに家にいる時間が短くなり、家事をする時間も減少します。近年では、家事を夫婦で分担することも当たり前になってきています。
コインランドリーを利用することで、一度に多くの洗濯物を、短時間で洗濯から乾燥まで行うことができ、家事の負担が軽減できます。夜も営業している店舗や24時間営業の店舗もあり、多忙な現代人の助けとなっています。
資料:1980~2001年は総務省統計局「労働力調査特別調査」、2002年以降は総務省統計局「労働力調査(詳細集計)(年平均)」
(注)1.「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」とは、2017年までは、夫が非農林業雇用者で、妻が非就業者(非労働力人口及び完全失業者)の世帯。2018年以降は、就業状態の分類区分の変更に伴い、 夫が非農林業雇用者で、妻が非就業者(非労働力人口及び失業者)の世帯。
(注)2.「雇用者の共働き世帯」とは、夫婦ともに非農林業雇用者の世帯。
(注)3.2010年及び2011年の[ ]内の実数は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果。
(注)4.「労働力調査特別調査」と「労働力調査(詳細集計)」とでは、調査方法、調査月などが相違することから、時系列比較には注意を要する。
●アレルギー症状対策
近年、花粉症患者が増加傾向にあるのをご存知でしょうか。その大きな要因と考えられているのが、温暖化により花粉が長期間飛散し、その量の増加しています。その結果、花粉吸い込んでアレルギー反応を示す人が多くなっているのです。
さらにダニなどのハウスダストが、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性結膜炎、アレルギー性鼻炎など、さまざまなアレルギー性疾患の原因となっています。花粉症と違い、こういったアレルギーに季節は関係ありません。
コインランドリーの乾燥機は、家庭用のものに比べて高温で乾燥させるため、ダニを死滅させることができます。また、花粉等を付着しにくくできます。ペットを飼育している人や、小さなお子様がいる家庭にも需要があると考えられます。
●降水量の増加
近年、日本の降水量が増加やゲリラ豪雨、それによる水害のニュースが増えています。こういった背景にも地球温暖化の影響が及んでいると考えられています。地球温暖化が進むと、海水面の温度が上昇し、大気中の水蒸気量も増え、海水面から蒸発する水蒸気量が増加します。水蒸気量の増加は世界平均でみると降水量の増加をもたらしています。
梅雨や豪雨が発生しやすい時期だけでなく、冬の気温が上がらない日・雪などの日にも、コインランドリーを利用すれば洗濯・乾燥が可能です。
●家で洗いにくいものが洗える
一般的な衣類に限らず、コインランドリーでは1度に様々なものを洗うことができます。例えば、羽毛布団や敷布団、こたつ布団、毛布、じゅうたん、ラグ、カーペット、カーテン、シーツ、タオルケット、マットなど大型のものを洗濯することもできます。布団をクリーニングに出すと最低でも数日かかるのに対し、コインランドリーでは1日で完了します。料金もクリーニングより割安なので、水洗い可能な布団の洗濯におすすめです。家で洗おうとしても手間や労力がかかるため、コインランドリーを利用する人も少なくありません。
また、靴専用の洗濯機・乾燥機を設置しているところもあります。
ランドリー運営のメリット
1.長期的に安定収入が見込める
コインランドリーのお客様の中心となるのは、近隣住民の方である場合がほとんどです。そのため、定期的・継続的に利用するリピーターが期待できます。立地等に限らず、通いやすい店舗づくりを工夫することで、リピーターを増やすと、安定した収入を得ることができます。
2.ランニングコストが低い
コインランドリーでは、無人運営がほとんどです。そのため、人件費がほとんどかかりません。必要なランニングコストは基本的に水道費と光熱費、洗剤や販売する消耗品などと、比較的に少ないことも特徴です。
3.節税対策に効果的
1.減価償却で資産価値が下がる |
不動産投資の場合は不動産の路線価などの時価評価に対して税額が決定するが、コインランドリーの場合は減価償却後の簿価に対して税額が決まる |
2.中小企業投資促進税制の活用 |
認定を受けると、一定の対象者は、対象の洗濯機などの購入費用、建物の設備費用などに対し取得に要した金額を全額取得した年度で減価償却により経費計上できる。ただし、導入当初の税負担を軽減するだけであり、後の負担が大きくなるため、通常に償却した場合と比較してトータルの税額は変わりません。税額を減らすのであれば、取得価額の7% (特定中小企業者等は10%)の税額控除も選択できます。 |
3.小規模宅地等の特例で相続税を節税できる |
特定事業用宅地という扱いになれば、400㎡までは相続税評価額が80%減額されます。 |
ランドリー運営のデメリット
1.初期費用が高い
コインランドリーの経営を始めるにあたって、初期費用が必要になります。下の表に記したもの以外にも、両替機や監視カメラなどの導入費用、宣伝広告費なども見込んでおく必要があります。しかしながら、コインランドリーを開業する際に利用できる補助金・助成金もありますので、活用しましょう。
内装工事(電気工事・給排水工事・ダクト工事・その他) | 600~900万円 |
外装工事(看板費用・外灯・駐車場の整備費用など) | 200~300万円 |
設備費用(洗濯乾燥機・大型洗濯機・乾燥機など) | 1500~2200万円 |
2.供給過多で経営が難しくなる可能性がある
先に述べた通り、コインランドリーの出店数は年々増加傾向にあります。そのため、近い距離にライバル店があることもすくなくありません。ライバル店と差別化をする工夫を施す必要があります。
3.防犯上の問題がある
無人経営が中心となるため、犯罪のリスクもあります。例えば、無断駐車・駐車場での事故やトラブル・利用者同士のトラブル・利用する目的以外での入店・洗濯物の盗難・設備の盗難・誤操作による機会の故障・ゴミの不法投棄・両替機を狙った強盗などが挙げられます。洗濯物の盗難の場合、設備が壊されてしまうことも考えられます。
そのため、セキュリティの対策が必要となります。防犯カメラの設置や保険の加入、セキュリティ会社の利用だけでなく、定期的な見回りや清掃などが重要となります。最近では、キャッシュレスに対応した機器もあるため、活用することもいいでしょう。
他店と差別化のポイント
〇店内の雰囲気
先に述べた防犯面でも店内の雰囲気は大切です。明るい雰囲気で、どんなお客様であっても「利用しやすい」「また利用したい」と思ってもらえる店内を目指しましょう。
▶照明を明るくする。パーソナルスペースを保てる広さ・配置に留意する。説明や案内にポップを作成する。小物や植物を飾って雰囲気を変える。
〇清潔な店内
環境犯罪学という学問の中に「割れ窓理論」というものがあります。窓ガラスを割れたままにしておくと十分に管理されていないと思われ、ごみが捨てられ、やがて凶悪な犯罪が多発するようになるという犯罪理論です。基本は無人営業としても、防犯面としての見回りと併せて清掃も行いましょう。
▶利用者向けのゴミ箱を設置する。こまめに店内・駐車場を清掃する。雑誌や備品等を整頓する。
〇設備の導入
費用は掛かりますが、大きくライバル店との差別化を図りたいのであれば設備を整えていくとよいでしょう。「洗濯技術」と「コインランドリーでの過ごしやすさ」の2つの面で考えてみましょう。
▶洗濯技術:クリーニングより速く・安く洗える機器、より綺麗に洗える機器の導入。
▶コインランドリーでの過ごしやすさ:盗難防止対策を実施する。待ち時間を快適に過ごすための設備の導入(空調、雑誌や本、wi-fi、自動販売機など)
まとめ
いかがでしたでしょうか。立地によっては、1階のテナントであってもなかなかご成約いただけないこともあります。駅から離れていても、近隣に住宅があればコインランドリーをご利用いただける可能性もあります。テナントの長期空室でお悩みのオーナー様はご検討してみてはいかがでしょうか。
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