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近年、台風やゲリラ豪雨などによる自然災害が各地で発生しています。2025年9月には、大田区でも記録的な大雨により上池台・雪谷地区を中心に床上・床下浸水が相次ぎ、品川区でも戸越銀座商店街の店舗が浸水するなどの被害がありました。
自然災害は、いつ、どこで発生するか分かりません。賃貸物件を所有されているオーナー様のなかには、「もし所有物件が被害を受けたら、どう対応すればよいのだろう」と不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際に被害が発生した場合、建物や設備の修繕だけでなく、ご入居者様の家具・家電などの家財に被害が及ぶこともあります。こうしたときに、修繕や損害の費用を誰が負担するのかをあらかじめ知っておくことは賃貸経営をしていくオーナー様にとって大切です。
今回は、台風や豪雨などによって賃貸物件に被害が発生した場合の修繕・費用負担について、賃貸人と賃借人それぞれの立場から解説します。あわせて、被害を大きくしないために、日頃からできる備えについても紹介します。
目次
5.自然災害による被害を大きくしないための対策
――(1)オーナー様ご自身でできる対策
――(2)ご入居者様に向けてできる対策
1.自然災害による賃貸物件の修繕は誰が負担する?
賃貸物件が台風や豪雨などの自然災害によって被害を受けた場合、建物や設備の修繕は、原則として賃貸人であるオーナー様が行います。これについて民法606条では賃貸人の修繕義務として、次のように定めています。
【民法606条】
「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。」
しかし、賃借人の故意や過失などが原因で修繕が必要になった場合は、賃貸人の修繕義務の対象外となることがあります。
また、実際の費用負担については、被害を受けた箇所や物、被害が発生した原因などによって判断されます。建物そのものの損傷と、ご入居者様が所有する家具・家電などの家財では、費用負担の考え方も変わってきます。
ここからは、建物や設備、家財など、被害を受けた箇所・物ごとに、修繕や費用負担の考え方を解説します。
2.建物や設備が被害を受けた場合
台風や豪雨などによって、外壁や屋根、窓ガラス、玄関ドア、水道・ガス管、浄化槽、エアコンなど、賃貸物件の建物や設備が損傷した場合は、原則として賃貸人であるオーナー様が修繕します。
自然災害による被害は、建物のさまざまな場所で発生する可能性があります。特に台風では、強風によって屋根の一部が飛んだり、雨どいが破損したりすることがあります。また、外から見ただけでは分からない箇所に損傷が生じている可能性もあります。
台風や豪雨が過ぎた後は、目視で確認できる範囲でも建物の状態を確認し、破損や異常が見つかった場合は早めに修繕を行うことが大切です。被害を放置すると、雨水の浸入などによって、さらに被害が広がる可能性があります。
3.ご入居者様の家具・家電などが被害を受けた場合
台風や豪雨などによって外壁や窓から雨水が浸入し、ご入居者様の家具や家電などが被害を受けることがあります。ご入居者様が所有する家具や家電などの家財については、オーナー様の修繕義務の対象ではありません。
ご入居者様から損害賠償を求められた場合には、まずご入居者様が家財保険に加入しているか、加入している場合は補償内容を確認してもらいましょう。
ただし、オーナー様が必要な修繕を怠っていたことが原因で被害が拡大した場合などは、オーナー様が責任を負うことがあります。
自然災害による被害では、建物の損傷だけでなく、ご入居者様の家財にまで被害が及ぶことがあります。建物に異常が見つかった場合は早めに対応し、被害を広げないことが大切です。
4.建物の被害によってけが人が発生した場合
台風によって屋根や外壁などが飛散し、ご入居者様や通行人などにけが人が発生するケースも考えられます。
このような場合、建物の設置や管理に問題があったと判断されると、オーナー様が損害賠償責任を負う可能性があります。民法717条では、建物などの土地の工作物に設置・保存上の瑕疵があり、それによって他人に損害が生じた場合の責任について定めています。
ただし、建物を適切に管理していたにもかかわらず、予測できない自然災害によって被害が発生した場合など、オーナー様に損害賠償責任が認められないケースもあります。
自然災害による被害を防ぐためにも、日頃から建物の状態を確認し、必要な修繕や管理を行っておくことが大切です。
5.自然災害による被害を大きくしないための対策
自然災害による被害を完全に防ぐことは難しいものですが、日頃から建物の状態を確認したり、ご入居者様に必要な情報を伝えたりすることで、被害の拡大を防げる場合があります。ここでは、オーナー様ご自身でできる対策と、ご入居者様に向けてできる対策を紹介します。
(1)オーナー様ご自身でできる対策
建物の点検と修繕
定期的に建物を点検し、必要な修繕やメンテナンスを行うことは、自然災害による被害のリスクを抑えるだけでなく、建物を長く維持することにもつながります。
また、台風や豪雨が過ぎた後には、屋根や外壁、雨どいなどに破損や異常がないか確認し、必要に応じて早めに修繕することが大切です。
火災保険の補償内容を確認する
自然災害による建物の被害に備えるため、加入している火災保険の補償内容を確認しておきましょう。契約内容によって補償される範囲が異なるため、必要に応じて補償内容を見直すことも大切です。
(2)ご入居者様に向けてできる対策
家財保険への加入を案内する
ご入居者様の家具や家電などの家財が被害を受けた場合に備え、入居時などに家財保険への加入を案内することも対策の一つです。初期費用を抑えるために加入を見送る方もいるため、自然災害による家財の被害について、ご入居者様自身での対応が必要になる場合や、家財保険で補償される場合があることをあらかじめ伝えておくとよいでしょう。
また、賃貸借契約によっては、家財保険への加入を条件としている場合もあります。災害が発生した際に、家財の損害について誰が対応するのかをめぐるトラブルを防ぐためにも、管理会社や入居希望者と契約時に確認・相談しておくことが大切です。
自然災害発生時の対応をあらかじめ案内する
台風や豪雨が予想される際に、ご入居者様に対して屋外にある物を室内や安全な場所へ移動してもらうよう、あらかじめ案内しておくことも大切です。
入居時に注意点を伝えたり、建物の掲示板などで定期的に案内したりすることで、災害時の対応を周知しやすくなります。また、日頃からベランダに物を置く際の注意点などを発信しておくことも、被害の防止につながります。
あわせて、共用部の外廊下や駐輪場なども日頃から確認し、強風で飛ばされる可能性のある物がないか見回っておくと安心です。
6.まとめ|自然災害に備えて、日頃からできる対策を
台風や豪雨などの自然災害によって賃貸物件が被害を受けた場合、建物や設備の修繕は、原則としてオーナー様が行います。一方、ご入居者様の家具や家電などの家財については、オーナー様の修繕義務の対象ではありません。
ただし、建物の管理状況や被害の原因によっては、オーナー様が損害賠償責任を負う場合もあります。災害が発生してから対応を考えるのではなく、日頃から建物の状態を確認し、必要な修繕を行っておくことが大切です。また、ご入居者様に家財保険の加入を案内したり、災害時の注意点をあらかじめ伝えたりすることも、被害の拡大やトラブルを防ぐための対策になります。
自然災害はいつ発生するか分からないからこそ、平時からできる備えを確認しておきましょう。
賃貸経営では、建物の管理やご入居者様との契約など、日頃から確認しておきたいポイントがさまざまあります。賃貸経営の基本を改めて学び、長く安定した賃貸経営につなげてみませんか?
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