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物件を知れば、物件の価値が上がる
NOI(営業純利益) ÷ Cap Rate(期待利回り) = Value(不動産の価値)
上記は、不動産の価値を計算するときに活用できる数式です。「NOI」とはNet Operating Incomeの略で、純収益という意味です。賃料収入から、実際に発生した管理費や固定資産税などの経費を引いて求めます。また、「Cap Rate」とはCapitalization Rateの略で、還元利回り・収益還元率・期待利回りなどを指し、NOIを不動産価格で除した率です。
例えば、営業純利益が700万で利回りが7%の物件を所有していた場合、 7,000,000 ÷ 0.07 =100,000,000 と計算でき、その不動産価値は1億円ということになります。
同じ利回り7%で、運営コストを削減し入居率を高めて売上改善をして、営業純利益が800万(月額8.4万増)になったとしましょう。この時、 8,000,000 ÷ 0.07 = 11,428,574 と計算でき、不動産価値は約1,430万円改善されたことになります。
不動産の価値は、その不動産の賃貸経営を管理する会社(個人)によって大きく変わり、正しく物件の状態や情報を把握することが大切だと言えます。では、どのようにして物件のことを知ればよいのでしょうか。今回は、ご自身の物件への理解を深めるポイントを4つお伝えします。
1.地域の人口数や世帯数を知る
まず、データの1つとなるのが国勢調査です。国内の人口や世帯の実態を明らかにするため、5年ごとに実施されています。調査の結果は、総務省統計局のページで確認することができます。
また、自治体が随時、ホームページ等で人口や男女比を公表しています。更新頻度は自治体によって異なりますが、日本全国を対象とした国勢調査よりも、詳しく物件近辺の状況を知ることができます。▶例:「大田区 区の世帯と人口」
こういった情報から、エリアの状況が見えてきます。具体的には人口・世帯の増減率、世帯年収の割合、外国籍人口などです。これらはターゲットを決めていく上での指標になります。どんな優れた物件でも、エリアのニーズ合ったものでなければ、本当の力を発揮できません。また、ニーズの高いもので、供給が足りていないものを提供できれば、差別化を図ることもできます。
例えば、外国籍人口が増えているようなら、文化の違いから、日本で人気の「風呂トイレ別」の需要は低くなり、家賃や初期費用を落とした物件が喜ばれます。
2.ライバル物件の募集状況を知る
近隣にはどのような物件があるのか?ライバル物件の数はどれくらいか?ご自身の物件と似た条件のライバル物件の入居条件はどういった傾向か?ターゲットにしているお客様の層に今、人気の設備は…?
こういった情報をご存じでしょうか?近年のお部屋探しはSUUMOなどのポータルサイトを利用するのが主流となっており、数千円の賃料の差や設備1つの有無で検索結果に表示されなくなってしまいます。ライバルの中でのご自身の物件の位置づけや、ライバルとの違いを知っておくことは、今後の方針を決めるためにも大切なことです。
また、こんな考え方もできます。例えば、近くに安くて設備の良い新築ができたとします。その新築が満室になるまでは成約になりづらいかもしれません、しかし、他にライバルとなるお部屋は見当たらない場合、時間の問題だと考えることができます。
ポータルサイトや募集図面には、募集されている期間や日当たり、共用部などの現地を見ないとわからない情報を把握することもできます。お客様の目線に立って情報を見ることで写真などによる印象の違いにも気付けるかもしれません。
さらに、インターネットで「家賃相場 大田区」などで検索すると、各ポータルサイトでの家賃相場を調べることもできます。サイトによっては、間取り毎に相場を算出しているものもあるため、参考にしやすい情報です。是非一度、近隣物件の情報を見てみてください。
▶関連記事はコチラ「SUUMOで検索!入居者ニーズを分析」
もし、近隣のライバル物件の状況をより詳しく知りたい場合には、仲介会社や管理会社に聞いてみるのもいいでしょう。募集してから成約するまでの期間、募集時と成約時の賃料の差、条件の変更などが分かると、ご自身の物件の募集状況と比較しやすいでしょう。「家賃の値下げは最後の手段」としたいところですが、ライバル物件とあまりにも差がある場合には、家賃帯を見直す必要も出てきます。ポータルサイトでは5,000円ごとに希望賃料を設定して検索できるため、そういったことも踏まえて検討していくことになります。
3.過去の入れ替わり履歴を確認する
個人で管理をしているオーナー様の場合、履歴の保管は大変かもしれません。もし、これまでに履歴を残していないのであれば、分かる範囲から記録を付けることをお勧めします。
管理会社を利用されているオーナー様は、管理会社が履歴を残しているはずです。募集をする際に確認してみることをお勧めします。
履歴の内容は、過去の成約期間・賃料・空室期間(空室時期)・男女比・法人個人の比率などです。こういった履歴から、ご入居者様の傾向が分析できます。例えば、法人契約の男性の方が2~4年でご入居する傾向が強い場合、単身赴任での利用が多いと推測できます。この場合だと、家具家電付きプランの導入や、リフォームを検討する場合にも男性をターゲットとしたデザインにすることも考えられます。
どの市場でもターゲットを絞ることは非常に重要で、賃貸市場も例外ではありません。漠然とした層を狙うのではなく、ご自身の物件に適したターゲットを設定するためにも、この分析は必要といえます。
4.AIを活用し客観的に相場を確認する
上記の1~3の情報を調べると、ご自身や担当者の主観が入ってしまうこともあります。そこで、人工知能「AI」に家賃を計算させ、客観性のある情報を確認することをお勧めします。機械に査定をさせることに不安を感じる方もいると思いますが、近年ではその技術進歩から金融機関など様々な場面で活躍しています。
インターネットで無料でできるものもありますが、各不動産会社でもAI査定を導入しているケースが増えています。採用しているシステムによって得られる情報は異なり、想定利回りから売却金額まで計算できるものもあります。不動産会社では、そのデータについても話を聞くことができるため、相談してみるといいでしょう。
いかがでしたでしょうか。「情報を制する者は戦いを制す」という言葉もあります。近年は「情報社会」とも言われ、様々な情報が飛び交っています。多くの情報から必要な情報・正しい情報を精査、分析し、活用することで道が開かれることもあります。「インターネットは難しいから…」「スマホやパソコンは苦手で…」という方も、まずは不動産会社に相談するなど、情報を集めてみてはいかがでしょうか?その一歩がご成約につながるかもしれません。
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