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底地の登記簿謄本を確認すると、所有者の名義が「大蔵省(現・財務省)」となっているケースがあります。図1は、実際に物納された底地の登記簿謄本の一例です。権利者の欄には「大蔵省」と記載されています。
このような底地は、相続人が相続税を納めるために、相続した土地を物納したことで国の所有となったものです。では、相続時に底地を物納すると、その後の土地はどうなるのでしょうか。また、借地人様は、借地権を売却したり、国から底地を買い受けたりすることができるのでしょうか。
本記事では、物納の仕組みをはじめ、物納された底地の権利関係や、借地人様による借地権の売却・底地の買受けについて、実際の事例をもとに解説します。
目次
3.物納された底地の同時売却・買受けの方法
――(1)借地権と底地を同時に売却する方法
――(2)借地人様が底地を買い受ける方法
1.相続税の物納とは
相続税は、原則として現金で納める必要があります。しかし、相続した財産の大部分が不動産などで、現金での納付が難しい場合もあります。
そのような場合に利用できる制度が「物納」です。物納とは、相続税を現金ではなく、相続した財産そのもので納める制度です。土地や建物などを国に引き渡すことで、その財産の価額に相当する相続税を納めます。
ただし、現金で納めることが難しいという理由だけで、自由に物納できるわけではありません。まずは、相続税を分割して納める「延納」という制度を利用しても金銭での納付が困難であることが必要です。そのうえで、物納に充てる財産の種類や状態など、一定の要件を満たし、税務署長の許可を受けなければなりません。
また、物納できる財産には優先順位があります。不動産は物納の対象となりますが、借地権が設定されている土地(底地)は「物納劣後財産」に区分され、ほかに物納できる財産がない場合などに限り、物納が認められることがあります。
このように、底地の物納には一定の条件がありますが、実際に物納され、国が所有者となっている土地もあります。
底地が物納されると、土地の所有者は国に変わります。ただし、借地人様の借地権がなくなるわけではありません。国は、それまでの地主の貸主としての地位を引き継ぎ、原則として従来の借地契約に基づいて地代を受け取ります。そのため、借地人様は、物納後も引き続き土地を利用することができます。
物納後の底地については、借地人様が借地権を第三者に売却する方法のほか、国から底地を買い受け、土地の所有権を取得する方法もあります。底地を買い受けることで、借地権と底地の権利を一つにすることができます。
2.物納された底地に対する借地人様の選択肢
物納された底地上の借地権は、第三者へ売却することができます。また、国が所有する底地と借地権を同時に売却する方法もあります。国が借地権を買い戻すことはありませんが、一定の譲渡承諾料(借地権価格の約10%)を支払うことで、借地権を第三者へ譲渡することが認められています。
国有地の底地は、価格の折り合いがつきやすいという利点もあります。一般的に、借地人様が底地権を買い取る際は、底地の所有者との価格交渉が難航することもあります。しかし、国有地の場合は、路線価を基に借地権割合を考慮して底地価格が算出されるため、比較的スムーズに売却を進められる場合があります。
一方、国有地の底地と借地権を同時に売却する場合、個人が所有する底地と借地権を売却する場合に比べ、手続きが複雑で時間もかかります。財務局から委託を受けた不動産会社とのやり取りに加え、土地の所在地を管轄する財務局・財務事務所での手続きも必要です。実際に、決済まで約3か月を要したケースもあります。
3.物納された底地の同時売却・買受けの方法
(1)借地権と底地を同時に売却する方法
借地権と底地を同時に売却する方法を「同時売却」といいます。借地人様が所有する借地権付き建物を第三者へ売却する際に、底地の所有者も同じ購入希望者へ底地を売却する方法です。購入者は借地権と底地の両方を取得できるため、土地の所有権を得ることができます。
国有地の底地と借地権を同時に売却する場合、借地人様と購入希望者との交渉だけでなく、国による借地権の譲渡承認や底地の売払い手続きも必要です。財務省の現行通達「貸付中の財産の売却促進について」(令和5年6月28日付け・財理第1877号)に示された内容をもとに、主な手続きの流れを整理すると、次のとおりです。
- 借地人様から国へ同時売却の希望を申し出る
- 国が購入希望者を募集・紹介する
- 購入希望者と借地人様が売買条件を交渉する
- 借地権の譲渡手続きと、国有地の売払い手続きを進める
参考資料: 財務省「貸付中の財産の売却促進について」(令和5年6月28日付け・財理第1877号)
具体的な手続きや必要書類は、土地の所在地や条件によって異なる場合があります。実際に同時売却を検討する際は、管轄の財務局・財務事務所への確認が必要です。
(2)借地人様が底地を買い受ける方法
同時売却とは別に、借地人様自身が国から底地を買い受ける方法もあります。財務省の通達では、国が借地人様に底地の買受けを勧め、必要に応じて概算価格を提示することが定められています。
実際に買受けを希望する場合は、土地の所在地を管轄する財務局・財務事務所へ相談し、売払いの条件や価格、必要な手続きを確認します。その後、国との売買契約や代金の支払いなどを経て、底地の所有権を取得します。
底地を買い受けると、借地権と底地の所有権が一つになり、土地を所有権として保有できます。これにより、建替えや将来の売却を検討する際に、地主との権利調整が不要になるなど、土地の利用や売却の自由度が高まります。借地権と底地を一体化することで、資産価値の向上につながる可能性もあります。
4.実際の事例
ミノラス不動産にも、借地人であるA様から「借地権を買い取ってもらいたい」というご相談をいただいたことがあります。調査を進めたところ、底地の所有者が「大蔵省(現・財務省)」であることが分かりました。登記簿謄本を取得して確認すると、相続税の物納によって国の所有となった土地でした。
このケースでは、ミノラス不動産がA様から借地権を購入するとともに、財務省から底地を取得しました。その結果、借地権と底地の権利を一つにする「所有権化」を実現しました。
5.まとめ
物納された底地であっても、借地権の売却や底地の買受けは可能です。ただし、国有地の売払いには一定の手続きが必要で、完了までに時間を要する場合もあります。
借地権と底地を一体化することで、土地の所有権を取得でき、建替えや将来の売却など、土地の活用や処分の選択肢が広がります。物納された底地は、身近なところにも存在します。こうした土地の権利関係を整理することは、資産価値や活用の可能性を高めるきっかけにもなります。
ミノラス不動産では、財務省が所有する底地について、借地人様と同時に取引した実績があります。複雑な手続きや権利関係についても、状況に応じてサポートします。「うちの底地も物納かも?」「同時売却ができるのかな?」といったご不安があるオーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。
また、より理解を深めたい方には、ミノラス不動産が大田区に不動産をお持ちのオーナー様に向けて開催する底地勉強会へのご参加もおすすめです。基本から分かりやすく解説いたしますので、ぜひお気軽にご参加ください。
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