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2023.01.16

相続した空き家を売って3,000万円控除

ミノラスホープ株式会社 税理士 岡田 祐介

 先日あるクライアント様より相続した空き家を売った場合の譲渡所得の特例に関してご質問をいただきましたので、今回のコラムのテーマとしてご紹介します。当該特例は2016年4月から適用されているため制度自体の解説はいろいろな方面でされているかと思いますので、実務上、「これは」と思う部分を主にお伝えします。 

日本の空き家

 総務省統計局は、5年ごとに全国の住宅や土地についての調査・統計をまとめ、「住宅・土地統計調査」として発表しています。その中で、全国の空き家についての調査・統計結果もまとめています。      2021年現在の空き家の現状としては、建築中の住宅なども含めた居住世帯のない住宅(世帯主のない住宅)として876万戸、総住宅数に占める割合は14%を占めています。そのうち、建築中のものを除いても846万戸もの空き家があるのが現状です。前に行われた2013年の調査時より、26万戸・3.2%も増加しています。

 このような背景もあり、譲渡所得の特例が創設されることとなります。枕詞として「相続した空き家」がついています。

譲渡所得の特例の要件 

 それでは相続した空き家であればなんでもよいのでしょうか。もちろんなんでもよいわけではなく、以下のような要件がついてきます。読んでいただくとわかると思いますが、要件が結構多いです。

①被相続人の居住の用に供されていた家屋(以下「被相続人居住用家屋」)及びその敷地(以下、被相続人居住用家屋とその敷地のことを「被相続人居住用不動産」といいます)であること 
②相続により被相続人居住用家屋及びその敷地を取得した個人が譲渡したこと 
③被相続人が一人暮らしであったこと 
④家屋の建築年月日が昭和56年5月31日以前であること 
⑤家屋が区分所有建物でないこと 
⑥売却代金が1億円以下であること 
⑦家屋を耐震リフォーム又は家屋を取り壊して売却すること 
⑧相続後、譲渡するまでに未利用であること 
⑨相続開始から相続開始日以後3年経過する日の年末までに売却したこと 
⑩買主が特別関係者でないこと 
⑪重複適用ができない特例の適用を受けていないこと 

このうち、④「家屋の建築年月日が昭和56年5月31日以前であること」について解説していきます。 

「昭和56年5月31日以前」という、暦年でも年度でもない時期が区切りとされています。実は、この日付は建物の耐震基準が現行の新耐震基準となった日付に設定されています。この特例の創設当時、周辺の生活環境に悪影響を及ぼし得る空き家の数は、毎年約6.4万戸増加していました。そのうち、旧耐震基準で建築された建物が4分の3もあり、さらに、その半数は耐震性がないと財務省の資料において推計されていました。そのため、特例適用の基準日として用いられたようです。 

では、建築年月日というはいつのことを指すのでしょう。建物の完成した日(登記簿謄本に記載されている日)と考える方が多いのではないでしょうか。しかし、一部の建物は判定ができない場合があるのです。「耐震基準が変更された日付を区切りにしている」と先述した通り、あくまでも旧耐震基準で建築されたかどうかを判断することとなります。そのため、着工が昭和56年5月31日以前になるかどうかがポイントとなり、登記簿謄本だけでは判断できない場合があるのです。 

では、なにをもって確認・証明することができるのでしょうか。最もわかりやすいのは、建築済証で証明することです。しかしながら、建築が昭和56年という時点で、残っていないことがほとんどかと思います。そのような場合は台帳記載事項証明書(建築確認申請台帳に記載されている内容を転記した証明書のこと)を市区町村に発行してもらうことになります。 

申告時の注意点 

すべての要件を満たし、売却も完了して「いざ申告」という際に忘れがちになるのが添付書類です。当該特例の添付書類で注意すべきは、「被相続人居住用家屋等確認書」です。これは、国土交通省のホームページにて申請書をダウンロードして記入し、必要書類を添付して、売った資産の所在地を管轄する市町村の窓口に直接持参あるいは郵送にて提出することで、手に入ります。市区町村長から交付を受けるのですが、申請から交付まで1週間程度の時間がかかるうえ、確認書の申請のための添付書類として住民票除票や売買契約書の写し、電気・ガスの閉栓証明書等が必要となります。そのため、事前に、顧問税理士や売却に関わった不動産業者などに相談しておくことをオススメします。 

まとめ

 今回は相続の事前対策ではなく、相続が起こったあとの内容となりました。しかし、制度をうまく活用することで、「資産を守り抜く」という意味では大きな意味での相続対策といえるかと思います。また、添付書類の用意も、相続対策も、余裕を持って備えていくことは考え方として似ています。このコラムを読んでいただいた方の心に少しでも残れば幸いです。

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