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数次相続というのは、相続が開始してその相続手続が完了しない間に、別の相続が開始することをいいます。不動産の所有者について名義変更をしない間に、その所有者の相続人が亡くなり、相続が開始してしまうのがその典型例です。
今回は、不動産の数次相続について、その問題点などを考えます。
数次相続が発生する場面
2024年から相続による所有権移転登記が義務化されます(相続登記の義務化)が、不動産の登記申請をおこなうことは従前から義務ではありませんでした。そのため、不動産の所有者に相続が開始しても、不動産の名義変更を行わず、放っておいたという例は多々あります。相続が発生しても、不動産を使用している人が変わらないときは、相続登記を経なくても、そこに住み続けることは可能ですし、それほど不便は感じないものです。
例えば、両親と子ども一人である不動産に住んでいた場合、不動産の所有者であるお父さんが亡くなっても、母と子は特に問題なくその家に住み続けることになりますし、その数十年後に母親も亡くなっても、その子は今まで通りそこに住み続けることはできます。この場合、母親が亡くなった時点で、この不動産には所有権の名義人である父親の相続後に母親の相続が開始するという、数次相続が発生しています。
不動産の数次相続の問題点
ところが、上記のように所有者の名義人に数次相続が発生しているにもかかわらず、名義を変えずに時が経ってしまって、あるとき不動産を売却することが必要となると、登記名義をそのままにしていては不動産の処分はできないため、相続登記をせざるを得ない状況になります。その時点で、いざ相続登記をしようと思っても、相続関係が非常に複雑化してしまっていて、相続人の確定に非常に手間取ってしまうことになりがちです。
数次相続が数代にわたっているなど、所有権の名義人の相続が過去になるにつれて、事情を知る人が少なくなり、相続人の探索は混迷を極めることもあります。例えば、祖父の代から相続登記を行っておらずその状態で祖母も亡くなり、その子であるご自身の父親も亡くなったという場合、祖父・祖母・父の出生から死亡までの戸籍を追って、相続人を確定する必要があります。そこで祖父や祖母の戸籍を遡って調べていたら、祖母には別に婚姻歴があり、祖母の前夫との間に見ず知らずの子がいたという事実が判明すると、その子を無視して相続登記をすることはできません。その人の居場所を特定して連絡を取り、またその人も亡くなっているとその相続人とのコンタクトをとる必要が生じてきます。
ただ自分の住んでいた家を処分したいというだけのことなのに、数次相続が発生していたために思わぬビッグプロジェクトになるということも珍しくないのです。
不動産の数次相続の発生は可能な限り避ける
数次相続はやむを得ず発生することもありますが、不動産の相続による名義変更はなるべく早めに着手するに越したことはありません。遺言がない場合、不動産の名義を変更するには、相続人全員が関わって遺産分割協議等を行うことが必要となります。数次相続が発生している場合、この協議は、原則として被相続人ごとに行う必要があります。
不動産オーナーとしては、自身の相続開始後の混乱を少しでも回避するために、生前に対策しておくことも重要です。具体的には、自身の希望を公正証書遺言という形で作成しておくことで、不動産の所有権の帰すうに伴う相続人の様々な困難を軽減することが可能です。
不動産に数次相続が発生することは決して珍しいことではありませんし、やむを得ない場合も多いのですが、相続人が増える分だけ手続は複雑になります。2024年の相続登記の義務化をひかえて、不動産の名義を現実の所有者と一致させておくことは、今まさに必要なことといえるでしょう。
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この記事の執筆者紹介
ミノラス不動産
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