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用途地域をまたがっている土地は評価が下がる!?
都市計画区域または準都市計画区域に該当する地域では、計画的に市街地を形成することを目的として「用途地域」の指定というものが行われています。
用途地域とは、都市計画に基づいて計画的に市街地を形成する目的で、建築される建物の規模や用途を制限するために、都市計画法に基づいて指定されるエリアをいいます(都市計画法8条1項)。
建物には住宅・商業施設・工場・学校などさまざまな種類がある中で、相性の悪い組み合わせはどうしても存在します。
そこで、都市計画区域・準都市計画区域では、建築される建物の大きさ・高さ・用途などを制限して計画的な都市形成を進めるため、目指すべき地域の用途・目的に応じて「用途地域」の指定が行われ、都市計画法に基づいて、おおむね5年に一度、全国一斉に用途地域は見直されています。
用途地域の境目は道路や区画に沿っていることが多いのですが、道路から20メートルや30メートルというように長さで境界が設定されている場合もあるため、幹線道路沿いにあり、敷地に奥行きがある土地をお持ちの方が賃貸マンションなどを建築される場合にこの用途地域をまたいで建築することがあります。
用途地域をまたぐとどのような影響があるのか
ひとつの影響として「容積率」が異なる可能性が挙げられます。
容積率は、都市計画法が定める用途地域ごとに上限が決められています。そして、原則その上限値を超える建物をその用途地域内の土地に建てることはできません。 例えば容積率が200%の地域で土地の面積が100㎡なら、建物の延べ床面積が200㎡を超える建物は基本的に建築できません。
容積率は用途地域によって異なるために土地が容積率の異なる2つ以上の用途地域にまたがることがあります。この場合、その土地の容積率はまたがる割合に応じて加重平均して求めることになります。
一本の道路に面している宅地があったとします。その土地の前面部分と奥部分が容積率の異なる地域にそれぞれ属していて、奥部分の方が容積率が少ないという場合、その土地全体の容積率は、前面部分の容積率より少なくなります。
通常、土地の評価額計算の基礎となる路線価は、容積率の影響を考慮して決められているのですが、このような土地の正面路線に付された路線価は基本的に前面部分の容積率のみが反映されたものであり、この路線価による評価だけでは敷地全体の容積率が下がり、価値が減少する事実を適切に評価額に反映することができていないことがあります。
そのため、このような土地を評価する場合、その土地が、積率の異なる地域にまたがる面積はどの程度か、容積率がどれほど価額に影響を及ぼしているのかを考慮し一定の減価を行います。
減額される部分の計算は下記の算式によって計算されます。
影響度は地区区分に応じて下記のようになっています。
これを次のような土地に当てはめてみると評価額はいくら違うことになるでしょうか。
道路幅員が6メートルとすると南(商業地区)側の容積率は36/10となり、北(準住居)側は20/10となります。
ここに先ほどの算式をあてはめると、
5.6%ほど減額ができることとなります。
割合だけ見ると少なく見えてしまうかもしれませんが、評価額にすると1,000万円以上も減額できていることがわかります。
用途地域は各自治体のホームページなどから閲覧することが可能ですので、比較的容易に調べることができるといえます。
相続対策を行っていく前にまずご自身のお持ちの財産を把握することが重要になりますが、代々受け継がれていたり、先代などが建築したものなどについては意外と知らない事実もあったりします。 今回のコラムが隠れていた事実を見つけ出す手助けとなれば幸いです。
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この記事の執筆者紹介
ミノラス不動産
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