【大田区不動産ニュース】高齢単身者の受け入れの際の「モデル契約条項」の活用
「残置物の処理等に関するモデル契約条項」をご存じですか?
世帯数の減少に加え、高齢者単身世帯が増加している背景を踏まえ、今後ますます高齢単身者の受け入れを積極的に検討していく必要がありそうです。
今回は、単身の高齢者が死亡した際に、賃貸契約の解約がスムーズになり、居室内に残された家財等が円滑に処理できるように策定された、「残置物の処理等に関するモデル契約条項」についてご紹介します。
背景
内閣府が公表している令和4年版高齢社会白書によると、65 歳以上の一人暮らしの高齢者は男女ともに年々増加し、2015年の5928万人から2030年には7959万人まで増加すると推測されています。
そんな中、単身の高齢者が居住している民間の賃貸住宅の数は138万戸とも言われており、今後ますますそのニーズが高まっていくことが予測されます。
しかしながら、単身の高齢者が居住用物件を賃借しようとしても、借りることができないという問題が生じています。
残置物の処理等に関するモデル契約条項とは?
高齢単身者にお部屋を貸す場合、万が一賃貸借契約の継続中に賃借人が死亡した場合には、相続人の有無や所在が分からなかったり、相続人との連絡が付かなかったりして賃貸借契約の解除や、物件内に残された動産(残置物)を処理することが困難になることがあります。
オーナー様としては、このようなリスクを懸念し、高齢単身者の入居に足踏みをしてしまうこともあるのではないでしょうか。
このような不安感を払拭し、単身の高齢者の居住の安定確保を図る観点から、2021年6月7日に国土交通省及び法務省において「残置物の処理等に関するモデル契約条項」が策定・公表されました。
具体的な内容
①賃貸借契約の解除事務の委任に関する契約
賃借人の死亡時に賃貸人との合意によって賃貸借契約を解除する代理権を受任者に与えます。
②残置物の処理事務の委任に関する契約
- 賃借人の死亡時における残置物の廃棄や指定先への送付等の事務を受任者に委託します。
- 賃借人は、「廃棄しない残置物」(相続人等に渡す家財等)を指定するとともに、その送付先を明らかにします。
- 受任者は、賃借人の死亡から一定期間が経過し、かつ、賃貸借契約が終了した後に、「廃棄しない残置物」以外のものを廃棄します。ただし、換価することができる残置物については、換価するように努める必要があります。
モデル契約条項を利用する際の注意点
- 単身の高齢者(60歳以上の者)が賃貸物件を借りる場合に利用していただくことを想定しています。
- 入居者の財産の管理に一定の負担をかける面があるため、家主の契約関係や残置物の処理への不安感が生じにくい場面で利用した際には、民法や消費者契約法に違反して無効となる可能性があります。
- 入居者と受任者がモデル契約条項の内容を十分に理解したうえで同意していることが必要です。
モデル契約条項が無効となる可能性がある入居者の例
例えば、同じ単身者だからと若い入居者に利用すると、高齢者に貸す場合と比べてオーナーの不安感が生じにくいケースと判断され、民法や消費者契約法に違反して無効となる可能性があるので注意が必要です。
まとめ
いかがでしょうか?
「モデル契約条項」は使用が法令で義務づけられているものではありませんが、これを利用することにより、オーナー様が安心して単身高齢者にお部屋を貸すことができるようになることが期待されています。今後の賃貸経営のために導入を検討してみるのも良いのではないでしょうか。
ご不明な点などがありましたら、是非管理会社までご相談ください。 お問い合わせはこちらです。
※この記事は 【国土交通省 残置物の処理等に関するモデル契約条項】 を一部編集、転載しています。