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大家さんのための立ち退きマニュアル
築年数が古くなり賃貸住宅を建て替えようと考えたとき、避けて通れないのが入居者の立ち退きです。一方的に退去通告すれば済むほど簡単ではありません。敬遠していると計画に支障が出てしまいます。どうしたらスムーズに立ち退きを進められるのか。仕組みを知って、建て替え計画の成功に向けて取り組みましょう。
解約通知 1年~6ヵ月前
契約期間満了の1年~6ヶ月前までに、契約更新拒絶又は解約の申し入れが必要。入居者によっては交渉が長引くおそれもあるため、できれば1年くらい前からアナウンスする。入居者に移転をお願いするスタンスで。普通借家契約の場合、『正当事由』がなければ更新を拒絶できません。
交渉・合意 4カ月前
立ち退き条件を明確にし、合意書・承諾書を取り交わします。スケジュール、立ち退き料など具体的な条件を示して入居者と話し合う。交渉記録を残し、お互いに納得したら、退去時期、補償の金額や支払い方法などを記載した『契約解除の合意書』『明渡承諾書』を作成する。8~9割の入居者は納得して退去してくれるが、1~2割は抵抗する可能性もあるので、早めに弁護士等の専門家に相談する。
明け渡しまで 3カ月前
スムーズな明け渡しのために転居先紹介や敷金全額返還を行う。退去後、取り壊すのが前提となるので、原状回復の費用はかかりません。室内に傷や設備故障があっても、スムーズに退去してもらうため、預かっている敷金は全額返却するのが良いです。
高齢者は自分で転居先を見つめるのが難しいため、生活保護を受けている場合、行政と連携して受け入れ先を探す。
解体~建て替え
入居者の転居時期はバラバラ。最後の入居者が明け渡す日程の目途が立ってから、解体工事の日程調整など、建て替え計画の具体化に着手するようにする。事前に入居者の事情や状況をを調べ、一人ひとりと向き合う事が大切。立ち退き料は一定の相場があり、節約しようとすると話がこじれて高くつく場合もあるので、あらかじめ必要経費として見込んでおき、建て替えの資金計画を立てた方が良いです。
スムーズな交渉のために知っておきたいポイント
・立ち退き料の目安
移転経費、新規契約金、現家賃と新居家賃との差額など、1戸当たり概ね家賃の半年分を費用は見込んでおく必要があります。
・交渉に応じてもらいやすい物件と交渉が難しい物件の違い
建物が老朽化して建て替えの必要性が高いケースは交渉を受け入れてくれやすい。難しいのは入居者が高齢のケース。今さら転居できない、動くのはおっくうなど、難航しやすい。頻繁に顔を出して距離を近づけてもだめな場合は、弁護士に依頼するのが近道。高齢者以外で強く拒絶する場合は、立ち退き料が目的の可能性もあるので注意が必要です。
・立ち退き料を支払わずにすむように交渉するコツ
入居者が家賃を滞納していた場合や、ペット不可物件でペットを飼っているなど、賃貸借契約の禁止事項に違反している場合は、債務不履行で契約解除できるため、結果として立ち退き料は不要となります。
まとめ
居住用の賃貸住宅の場合は、きちんと段取りを踏めば、話がこじれるケースは少ないです。立ち退き料の相場も想定できるため、資金計画もたてやすいです。必要に応じて不動産会社や弁護士等の専門家にご相談してみてはいかがでしょうか。
▶※この記事は(株)オーナーズスタイル発行の「オーナーズ・スタイル首都圏版」の記事を一部編集、転載しています。
この記事の執筆者紹介
ミノラス不動産
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