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親から子への贈与
ミノラスホープ株式会社 税理士 岡田 祐介
今回は贈与に関するお話をさせていただきます。
親から子への生前贈与は将来の相続税対策として非常に有効な方法です。ただ、贈与には贈与税がつきものであり、親子間の贈与であっても、当然贈与税はかかります。そこで、親子間における贈与で贈与税がかからない場合とかかる場合をご紹介いたします。
親子間の贈与で贈与税がかからないケース
親には子を扶養する義務がありますので、元々贈与税がかからない贈与があります。
〇生活費・教育費
子が日常生活を送るために必要な生活費や教育にかかる費用などは、必要な金額である分にはいくらかかっても贈与税はありません。例えば、生活費とは一人暮らしをするにあたっての家賃や仕送りなど、教育費とは学校の学費や教材などが挙げられます。
〇結婚・出産費用
この結婚や出産にあたって、結婚式や出産にかかる実費、結納金、持参金、お祝い金などを親が支払った場合であっても、その金額が一般常識的な範囲内であれば贈与税はかかりません。
〇子ども名義の預金
子の将来のために、子供手当やお年玉などを子供名義の銀行口座に預け入れているというご家庭は多いかと思います。未成年や、まだ学生である子の通帳を親が管理するということは当然ですので、この場合には名義預金であっても贈与税はかかりません。
〇年間110万円以下の贈与
これは親子間の贈与に限ったことではありませんが、暦年贈与を行う場合には基礎控除額が年間110万円設けられていますので、毎年1月1日から12月31日までの間に行われた贈与の合計額が110万円以下の場合には贈与税はかかりません。
親子間の贈与で贈与税がかかるケース
親子間の贈与であっても贈与税がかかるのは次のような場合です。先ほどの「親子間の贈与で贈与税がかからないケース」でご紹介した内容に該当するにもかかわらず、認められない場合もあるため注意が必要となります。
●必要以上の生活費や教育費
親子間であれば贈与税がかからないとされている生活費や教育費の贈与は、その金額が必要な範囲内である場合です。生活費として贈与されたけれども、必要以上の金額であったため余り、通帳に残っているような場合には、その部分に贈与税がかかる可能性があります。
●常識を超える結婚・出産費用
ひとつめと同様ですが、贈与税がかからないと認められるのはあくまでも一般常識範囲内の金額である場合です。例えば、出産費用として2,000万円だったり、5,000万円だったりといった金額を渡した場合には、世間一般の金額からは外れていますので贈与税がかかる可能性が高くなります。
●時価より安価で売買
無償で贈与になってしまうため、あえて非常に安い価格で売買し「無償ではない=贈与ではない」と考えることもできます。しかし、市場の相場よりも著しく低い価格で売買が行われた場合には、その利益部分は実質的な贈与であるとみなされ、贈与税がかかる可能性がありますので注意してください。これを「みなし贈与」といい、売買ではあるのですが贈与があったとされます。
●車や住宅などのローンの肩代わり
直接現金を渡していない場合であっても贈与税が課税されることがあります。例えば、子が抱えているマンションなどの住宅ローンや自動車ローンを親が代わりに支払った、または返済した場合には、実質的には親から子に対する贈与になりますので贈与税がかかります。
●高額な金銭貸借
子が大きな現金を必要としている場合に贈与税の負担がなく、援助するため、親から貸付金とすることがあります。貸付金ですので当然贈与税はかかりませんが、返済不能なほどに高額であり場合や契約書がない場合には、贈与とみなされる可能性があります。
また、親が貸付金をもう還さなくて良いと免除した場合には、子は免除額分の贈与を受けたことになりますので、贈与税がかかります。
例えばこんなとき・・・
A様は早い段階から相続対策を考え始め、毎年110万円の贈与をお子様、お孫様へ行われていました。
お孫様は贈与開始当初未成年者でしたが、効率的にご自身の財産を引き継ぐため人数を増やしたいというご意向がありましたので、併せて5名に対して贈与を行い、毎年贈与契約書を作成、締結しておりました。
お孫様が大学を卒業し、働き始めたあるとき毎年作る贈与契約書について複数年分を一つの契約書にまとめて作れないものかと質問を受けました。
110万円の贈与を各人へ振り込むという手続き自体は毎回同じですので、その都度契約書を作って捺印するのは煩雑という風に思われたのだと思います。
私は定期贈与になってしまい贈与税が課税されるので行わない方が良いとお答えしました。
「定期贈与」とは、毎年一定の金額を贈与することが決まっている贈与のことをいいます。
定期贈与のに関する課税関係は国税庁のダックスアンサーにおいて、毎年決まった金額を複数年にわたって贈与を受け取ることが贈与者との間で契約(約束)されている場合には、契約(約束)をした年に定期金給付契約に基づく定期金に関する権利の贈与を受けたものとして贈与税が課税されると回答されております。
つまり、一つの契約書に複数年分の贈与を記載してしまうとその金額が契約時点で贈与されることが確定(=権利を得た)したという解釈になってしまいます。
お孫様は驚かれておりましたが、法律上の解釈をご理解いただき、その後も毎年契約書を作成しております。
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