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2020.09.10

貸家建付地の相続税評価

 今回は、貸家建付地の相続税評価に関して、基本から応用まで解説します。貸家建付地の評価額は、通常の土地の評価に比べて低くなります。つまり、土地を貸家建付地評価することで、相続税を節税することが可能となります。貸家建付地の評価方法を正しく理解し、節税にご活用いただければ幸いです。

貸家建付地とは

 「かしやたてつけち」と読みます。自分の土地に賃貸用物件を建て、他人に貸し付けている場合の、その土地のことを指します。厳密に説明すると、亡くなった方が所有していた土地及び建物があり、その建物を人に貸しているような状態にある土地のことを言います。

 図1は貸家建付地を説明したものです。土地とAさんが自分の土地に、自分の建物を建てて、Bさんに貸している状況です。

図1 貸家建付地の説明

 土地の上に建物がない場合や、人に『タダで』貸している場合、土地は亡くなった被相続人が保有していても建物は他の人が持っている場合は、貸家建付地には該当しません。

 貸家建付地に該当する場合、自宅の敷地のように自由に使える土地(自用地)よりも土地の評価は低くなります。そこで、空き地や駐車場などにアパートやマンションを建てることで相続対策になるのです。

貸家建付地の評価額計算方法

 なぜ、土地を貸家建付地とすることで相続税を節税できるのでしょうか。

 まず、基本的な貸家建付地の相続税評価方法を解説します。相続税は、被相続人が残した遺産の時価に対して課税されます。つまり、「相続開始日(死亡日)時点で換金したらいくらになるのか」という考えに基づいて評価方法が定められているのです。土地の時価は、現金や株式に比べて把握するのが大変です。

 未利用の土地や自己利用の土地は所有者の意思のみですぐに売却することが可能です。しかし、第三者に賃貸している建物が建っている場合はそう簡単にはいきません。建物に居住している賃借人の借家権が生じているからです。そこで、相続税評価を行う上では、居住者の借家権部分を一部考慮することで、評価額を減額することができるようになっています。これは「すぐに売れない」=「換金価値が少し下がる」と言う考えに基づいています。貸家建付地の評価額は下記の計算式で算出します。

≪貸家建付地評価の計算式≫
 自用地とした場合の価格 -(自用地とした場合の価格 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

【自用地とした場合の価額】
 土地の評価額は、路線価方式か倍率方式のいずれかで計算しますが、一般的には「路線価方式」で評価されます。この方法は、路線価に土地の面積を掛けることで評価額を出します。敷地の形状や前面道路の状況によっては、補正率を使って路線価を補正しなければならないことがあります。

【借地権割合】
 借地権割合は、地域ごとに路線価図により定められています。路線価図にA~Gの記号で定められており、表1の割合で借地権割合が決まっています。

【借家権割合】
借家権割合は、全国一律で30%に決められています。

【賃貸割合】
 例えば、アパートに部屋が10室あり、5室が入居中、5室は空室であるとします。この時の賃貸割合は10分の5、つまり50%となります。
 このように賃貸割合とは、土地の上の建物のうち何%を貸しているかということを表します。厳密には、貸している部屋の床面積で計算を行います。仮に、部屋が2室あり、貸している部屋が50㎡、貸していない部屋が150㎡であった場合には、賃貸割合は200分の50となり、賃貸割合は25%ということになります。

記号借地権割合
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
表1 路線価図の記号別借地権割合

貸家建付地評価の具体例

【〇〇コーポ】
・地積(面積)150㎡
・部屋数10室の賃貸アパートの敷地
・10室の広さはすべて同じ
・8室入居中、2室空室
・路線価図上、「350D」の路線に面している
※補正率は省略

  • 自用地とした場合の価格:150㎡×350千円=5,250万円
  • 借地権割合:表1より、記号がDなので60%
  • 借家権割合:全国一律で30%
  • 賃貸割合:10室のうち8室の入居中なので、10分の8=80%

5,250万円-(5,250万円 × 60% × 30% × 80%)=4,494万円

隣接する賃貸住宅の入居者専用駐車場は一体評価

 賃貸アパート・マンションに入居者専用の駐車場が併設されていることありますが、この場合は注意が必要です。

 一般的に、月極駐車場等の土地は「自用地」として評価することが原則です。しかし、駐車場が賃貸アパート・マンションの敷地と接続していて、駐車場の利用者が入居者のみの場合、駐車場は賃貸アパート・マンションの賃貸借と事実上一体のものであると考えられます。この場合、賃貸アパート・マンションの敷地と駐車場をひとつの土地として考えて、全体を「貸家建付地」として評価して差し支えないとされています。

 先ほどの具体例で提示した〇〇コーポで計算してみましょう。

アパートの敷地と駐車場をそれぞれ別の土地として考えて評価した場合

A:土地の貸家建付地評価額
   4,494万円(具体例より)
B:土地の評価額
   5,550万円(自用地評価)
相続税評価額:1億44万円

アパートの敷地と駐車場をひとつの土地として考えて、全体を「貸家建付地」として評価した場合

C:土地の貸家建付地評価額
・自用地の価格:1億1,100万円
・借地権割合:60%
・借家権割合:30%
・賃貸割合:80%
相続税評価額:9,501万6,000円

 それぞれ上記のように計算でき、アパートの敷地と駐車場をひとつの土地として考えて全体を「貸家建付地」として評価した場合の方が約540万円の評価額減となっていることが分かります。

 上記のように、貸駐車場が賃貸アパート・マンションの敷地と接続していて、その駐車場が入居者専用である場合、ひとつの土地として全体を「貸家建付地」の評価を行うことができます。当てはまるオーナー様は是非一度、状況を確認してみてください。

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