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賃貸物件の価値を高める
供給過剰市場を生き抜く「賃貸経営法」
2016年貸家の新設着工件数も41.8万戸を超え、リーマンショック後8年ぶりの高水準です。2017年度に入っても新設着工数のペースは引き続き高水準で推移しています。よい良い商品やサービスはいつの時代も創造され、そうでないモノは淘汰されるのが市場の原理です。
では、供給過剰市場のなか賃貸経営で資産の保全・形成、相続対策などの課題解決を考えるうえで、 オーナー様がすべきことはなんでしょうか?
答えは「物件価値を高めておくこと」です。
所有し続けるにしても、相続するにしても、売却するにしても、物件価値を高めておくことが重要です。
物件価値は大きく2つの価値に分けられます。1つ目は(狭義の)物件価値、2つ目は入居者価値です。
1.(狭義の)物件価値向上とは、物件の営業純利益を上げること
物件毎に実際に得られた1年間の収入(家賃、駐車場代、礼金他)の総額=実効総収入から、運営費(維持修繕費、管理料、公共料金、保険料、固定資産税、都市計画税など)を控除したものが営業純利益です。これは、1年間に物件が稼ぎ出す利益を表す重要な指標です。
営業純利益=1年間の収入の総額-運営費
営業純利益が上がるということは、物件価値の上昇に繋がります。ここから年間ローン返済総額を引くと、キャッシュフロー(税引前手取額)となります。
ローン返済があるオーナー様は、営業純利益が年間ローン返済総額の何倍になるか、を考えてみましょう。この数値は返済倍率と呼ばれ、一般的に1.25~1.3以上が求められます。高いほど安全性が高く、1未満は物件の稼ぎ(営業純利益)ではローンが返せないことになります。いずれにしても営業純利益=物件価値を上げておくことは所有し続けるにも、承継するにも、売却するにも有利に働きます。
2.今後、日本の賃貸住宅が力を入れたいテーマは「入居者価値向上」
入居者価値には基準がありません。一言で言うと「“お家賃以上”の価値を提供出来ているか?」ということです。支払っている家賃に対して、お得感を感じさせることが出来ているかどうかは、入居中や退去時アンケート、サービスリクエストの件数などから読みとることが出来ます。
また、解約率や空室日数等は指標になります。
解約率は、総戸数に対する年間解約戸数の割合です。年間解約戸数÷総戸数で計算します。住居系物件の平均値は20%程度で、20戸のアパートであれば、年間4戸の解約があります。単身やファミリー、法人などの入居者層によっても異なりますが、解約率が高い場合は、解約を促進してしまう価値という認識も必要です。空室期間の基準は60日。退去から入居までの期間が60日を超える場合は入居者価値が低いと考えて、設備のリニューアル等で価値を上げるのか、それとも家賃を下げるのか、などの入居者価値を高める対策が必要です。
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