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シェアハウス市況
はじめに
今年の繁忙期間を振り返ると、賃貸だけでなく、シェアハウスやマンスリーマンションも他の月に比べて多くの申込がありました。コロナ禍の中ではありますが、需要があると言えるでしょう。
シェアハウスのビジネスモデルが世に出て、10年以上経ちました。そこで今回は、シェアハウス市況の変化について取り上げます。シェアハウスビジネスが、時代の変化にどのように影響を受けてきたのか。それに合わせてどのように変化してきているのか。また、ミノラスで管理しているシェアハウスを例に、賃料の変化についてもまとめました。今後の賃貸経営にお役に立てれば幸いです。
シェアハウスビジネスの歴史
グラフは、2021年時点での「全国におけるシェアハウス物件数の推移」を示しています(2017年と2018年は市場調査未実施)。
2015年に3,157件だった物件数が、2016年には4,533件まで急激に増加しています。この背景には「シェアリングエコノミー」の普及があります。シェアリングエコノミーとは、物・サービス・場所などを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組みを指します。2016年当時は特にシェアすることに価値を見出すブームがありましたの。その影響で、事業者が急激に増加したのだと推測されます。ご入居者様同士の交流やシェアハウス内のイベントを求めて入居する方が増えました。
2019年には、スルガ銀行とスマートデイズ社による不正融資で社会問題となった『かぼちゃの馬車』事件が表面化しました。スマートデイズは、甘い謳い文句で不動産投資家にシェアハウスを建設させ、サブリース契約を結ぶ裏側で、建設会社からの多額のキックバックを得ていました。しかし、実際はそのキックバックで家賃収入を保証するという、「自転車操業」であり、家賃収入をオーナーに払えず、スマートデイズは破産しました。
※「かぼちゃの馬車」については、お役立ち情報「『かぼちゃの馬車』事件とは」で詳しく説明していますので、ご覧ください。
2020年から続くコロナウイルスの影響も無視できません。コロナショック当初、シェアハウスは感染リスクが高いと敬遠されるようになりました。また、コロナ前までシェアハウスを利用していた外国人も入国が難しくなりました。そして、入居率が低迷し、事業縮小した運営者も少なくありません。現在のwithコロナの状況では、以前のようなイベントや交流に価値を見出す入居者層は少なく、賃貸での一人暮らしより費用を抑えられるという理由で入居を希望される方が増えました。
賃料の遷移
ミノラスでは、空いているテナント・戸建・土地の活用として、2008年からシェアハウス事業を開始しました。2022年4月現在では、220戸のシェアハウスの管理・運営を行っています。今回は、ミノラスで扱っているシェアハウスの賃料推移を調べ、表にまとめました。
「従 来 型」 :2008年のシェアハウス事業開始当時から管理しているシェアハウス
「戸 建 型」 :空いている戸建てを活用したシェアハウス
「 新 型 」 :シェアハウス事業開始後から2022年4月までに、新たに管理を始めたシェアハウス
「独身寮型」:もともと企業の独身寮を転用したシェアハウス
従来型は、運営開始当初に比べ、戸あたり賃料が約7,000円下がっています。これは、新型に相場が引き下げられたからと言えます。新型は、戸あたり賃料に大きな変動はなく、比較的安い賃料で運営しています。先に述べたように、近年シェアハウスの利用を検討するお客様は、「費用を抑えたい」という気持ちが強い方が多いです。そのため、綺麗で安いシェアハウスと争うには、せめて賃料を合わせなくては選ばれにくくなってしまうのです。こうして、戸建型も同様に相場が下がり、戸あたり約3,000円~6,000円の賃料ダウンしました。
また、市場には、築古戸建に少し手を加えてシェアハウスにした物件もたくさんあります。しかしながら、こういった物件についても新型と比べると見劣りしてしまうので、さらに価格調整が進む可能性があります。今後は新型(築浅)1戸40,000円~45,000円が、大田区でのシェアハウスの基準価格になりそうです。
一方、独身寮型は5年で賃料の下落幅がありません。室内に3点ユニットバスがあり、シェアハウスでありながら一人暮らしに近い住まい方ができるところが、現在のニーズにも合致していると考えられます。
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