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2021.12.03

建物のライフサイクルコストと長期修繕計画

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ライフサイクルコストとは

今回のテーマは「修繕費を場当たり的に考えない」です。それをお伝えするために、まず「ライフサイクルコスト」というものについて簡単に説明します。

 ライフサイクルコスト(Life Cycle Cost 以下、LCCと記載)とは、建物や製品が作られてからその役割を終えるまでにかかる費用をトータルでとらえたもので、生涯費用ともいいます。

建物は竣工後から解体までに、建築費の3~4倍の費用が必要だと言われています。これは、左の図のように「氷山の一角」に例えられます。気づいている費用は氷山の見える部分だけで、実は見えていない部分に必要なコストが大きいのです。

建築費:建物の初期の建設費(イニシャルコスト)

運営費:水道光熱費

一般管理費:保険料や税金

保守管理費:共用部の小修繕や

修繕更新費:外壁修繕や設備の交換、リフォーム

修繕費はケチるものではない!

グラフ1は賃貸物件のLCCを表したものです。黄色で囲んだ部分が、賃貸マンションとしてスタートしてから掛かる費用(氷山で見えなかった部分)で、実にLCCの約75%を占めています。

 しかし、お金を使わないことが良いのではありません。「今使っている経費」の見直しと「今後必ず発生する経費」の準備をすることでLCCを削減することができます。

【今使っている経費の例】

 ・エレベーターの保守点検費用
 ・消防点検や貯水槽点検費用
 ・火災保険費用
 ・所得税

【今後必ず発生する経費の例】

 ・大規模修繕の費用
 ・各居室のリフォーム費用
 ・共用部の設備交換費用(ポンプや照明)
 ・相続税

経費を見直す第一歩、長期修繕計画

上記の【今後必ず発生する経費の例】の中でも、高額な経費となるのは大規模修繕、各居室のリフォーム、共用部設備の交換です。特に大規模修繕は、定期的に建物の状態を把握しておくこと、いつ頃実施するのかを明確にすることが大切です。そのために、事前に長い目で計画を立てておくことをオススメします。(下の画像は長期修繕計画のサンプルです。)

どれだけ将来的に費用が掛かるのかを想定することが、LCCを削減する鍵となります。また、LCCでは図ることのできないものとして、滞納や不良入居者が挙げられます。そのような場合に備えて、管理会社を活用することもポイントになってきます。

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