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2019.08.09

改正建築基準法が全面施行されます

昨年の2018年6月に建築基準法の改正案が成立しました。この改正案の改正趣旨の中には「既存ストックの活用」が挙げられています。「戸建て住宅等の福祉施設等への用途変更に伴う制限の合理化」として例えば戸建て住宅等を福祉施設等とする場合に、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に、耐火建築物等とすることを不要とすることや、用途変更に伴って建築確認が必要となる規模を見直すことなどが含まれています。

改正の概要(今回施工されるもの)

(1)密集市街地等の整備改善に向けた規制の合理化
防火地域や準防火地域における延焼防止性能の高い建築物について、建蔽率を10%緩和するとともに、技術的基準を新たに整備する。

(2)既存建築物の維持保全による安全性確保に係る見直し
既存不適格建築物に係る指導・助言の仕組みを導入する。また、維持保全計画の作成が必要となる建築物等の範囲を拡大する。

(3)戸建住宅等を他用途に転用する場合の規制の合理化
耐火建築物等としなければならない3階建の商業施設、宿泊施設、福祉施設等について、200㎡未満の場合は、必要な措置を講じることで耐火建築物等とすることを不要とする。また、200㎡以下の建築物の他用途への転用は、建築確認手続きを不要とする。

(4)建築物の用途転用の円滑化に資する制度の創設
既存建築物について二以上の工事に分けて用途の変更に伴う工事を行う場合の全体計画認定制度を導入する。また、建築物を一時的に他の用途に転用する場合に一部の規定を緩和する制度を導入する。

(5)木材利用の推進に向けた規制の合理化
耐火構造等としなくてよい木造建築物の範囲を拡大するとともに、中層建築物において必要な措置を講じることで性能の高い準耐火構造とすることを可能とする。また、防火・準防火地域内の2m超の門・塀について一定の範囲で木材も利用可能とする。

(6)用途制限に係る特例許可手続の簡素化
用途制限に係る特例許可の実績の蓄積がある建築物について、用途制限に係る特定許可の手続において建築審査会の同意を不要とする。

昨年の旅館業法の改正に伴い、旅館・ホテル業の最低客室数が撤廃され、1室からでも旅館・ホテル業が経営できるようになりました。そのため、従来にはなかった戸建旅館やアパート内ホテルといった物件供給が試みられてきています。この度の改正建築基準法の施行は、この流れに対する追い風となることが期待されます。

ただし、確認申請手続が不要となる場合でも、法適合性までもが不要となるものではない点には留意しましょう。また、旅館業への用途変更を検討する場合には、物件所在地の用途地域を確認する必要があります。物件所在地の用途地域が住居専用地域である場合には旅館業を営むことはできないからです。

このような場合には、シェアハウス(シェアハウスは「寄宿舎」に該当する点に注意)や住宅宿泊事業(民泊)の運用が考えられます。該当の空き家を有効活用する機会として捉えてみてはいかがでしょうか。

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