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2020.02.10

無断転貸に関するQ&A②

今回の記事は前回に引き続き、無断転貸に関する内容になります。実際に、他者に無断転貸することで、借主が利益を譲受していた場合にどのような対応になるか説明してまいります

【Q】
無断転貸によって、契約者が賃料などの収益を得ていたことが立証された場合に、こちらにその収益を支払え、といえるでしょうか?
【A】
結論としては、あらかじめ契約書で一工夫を加えておくことが必要です。
賃借人が勝手に無断転貸して収益を上げている場合に、こちらにその収益を支払ってほしい、という気持ちはよくわかります。ちょっと前は、物件が無断民泊に使用されいるので、その収益を賃貸人に支払って欲しい、という相談もありました。
ですが、そのような収益の回収のためには、あらかじめ賃貸借契約書での一工夫が必要となることが通常です。
無断転貸が行われた場合、契約者自身が利用した場合に比べて原状回復に費用がかかるなど具体的な損害が立証できれば別として、単に無断転貸したことだけをもって、損害賠償や収益を自己に支払うことを請求することは通常困難です。
オーナーとしては自身の物件を無断転借人が利用しているため、同人に対して不法行為(民法第709条)を理由とする損害賠償を請求できますが、この請求にいう「損害」は賃貸借契約における賃料相当額と捉えられることが通常で(最二小判昭和41年10月21日参照、なお、土地賃借権の譲受の事案)、賃貸人が賃借人から収受している賃料を超えた収益までを請求することは容易にはできないと考えられます。

対策としては、賃貸借契約書に、居住用物件を事業として転貸をしていた等、用法違反がある場合に収益相当額の違約金を支払うとか、一定額の違約金(賃料を倍額支払う等)を支払うという内容の契約条項を入れることです。
そうしておくことで、この契約条項に基づき無断転貸している賃借人に対し、収益相当額や違約金の支払を求めることができる可能性があります。

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