お役立ち情報
大切な資産を「守る」「つなぐ」「増やす」ために
役立つ不動産の市況や経営の情報をご紹介
給排水管のメンテナンス
私たちの生活に水は欠かせません。水を利用するには給水管が、出した水を排水するには排水管が必要です。給排水管のメンテナンスを怠っていると、「排水管がつまって水が溢れてしまった」「給水管が破損して下の階へ漏水している」などのトラブルに繋がってしまいます。ライフラインのトラブルが続くと、ご入居者様の退去にもつながりかねません。
給排水管は床下や天井裏に設置されており、目視での劣化診断が難しいので、定期的なメンテナンスを行うことで、現状を確認し、トラブルを未然防止する方法がベストです。そこで今回は、給排水管のメンテナンスについてお伝えします。
給排水管の劣化の理由
給水管
1980年代築のマンションには、給水管に鉄管が多く使用されました。鉄管がサビると、凍結時に破裂したり、鉄製の配管の表面に発生した赤サビが水とともに溶け出したりしてしまいます。最近の建物はポリエチレンの管を使用しているため、サビの心配はありません。
給湯配管には熱伝導の良い銅がよく使用されています。それにより、金属の腐食の一種である「孔食(ピンホールともいう)」が発生してしまいます。これは、金属面の欠陥部分から腐食が進行し、孔状に腐食が起こることを言い、孔食箇所から漏水が起きてしまいます。また、サビによる詰まりで水が出にくくなってしまうこともあります。
排水管
給水管は綺麗な水が通りますが、排水管は生活排水が流れ出します。生活排水とは、台所・トイレ・お風呂など、日常生活で使った水のことです。台所の排水管には、油汚れや食物カ、熱湯などが流されるため、最も劣化が速く進みます。浴室・洗濯機置き場の排水管には、髪の毛や洗剤、シャンプーなどが流れ込みます。放置してしまうと、排水管が詰まり、水が溢れ、悪臭やハエの発生の原因にもつながってしまいます。
排水管の洗浄
賃貸マンションの場合、3年~6年に1回程度の頻度で、高圧洗浄水によって排水管を掃除することが望ましいです。高圧洗浄用ノズルを管内に挿入し、水の圧力で付着している汚れ・ヌメりを取るように除去します。
築年数の経った物件は排水管が鋳物管の可能性があります。その場合、高圧洗浄すると配管が破損してしまうリスクがあるため、トーラーと呼ばれる機械でワイヤーを配管内に通して摩擦で汚れを除去する方法で洗浄します。排水管洗浄では、主に洗面所・台所・風呂場・洗濯機排水の排水管内部の洗浄を行うことが多いです。
貯水槽の清掃
最近は増圧ポンプや直結の給水方式が多くなっていますが、貯水槽がある場合は、年1回の貯水タンク内の清掃と水質検査が義務付けられています。貯水槽の清掃は、専門の資格を持った業者へ依頼し、水質検査も行ったうえで保健所へ届け出することが必要です。メンテナンスを怠ると、貯水槽内に細菌が発生したり、貯水槽内がサビたりしてしまいます。いざというときに安全な水を供給するためにも、定期的なメンテナンスは欠かせません。
また、貯水タンク内には、満水になると自動的に止水する弁(器具)があります。これが故障すると、常に水を供給し続けるため、水道代がかなりの高額になってしまいます。少しの漏れであれば、気づかないこともあるので、清掃時に器具点検を行うことで未然防止が可能です。
加えて、貯水槽には給水圧を増すためのポンプ設備があります。これについても、定期的な点検や古くなったときの改修工事が必要です。
地下に給排水設備があるマンションの場合、排水を一時的に溜めておく排水槽があります。この排水槽の清掃・メンテナンスが必要です。貯水槽と同様に、汲み上げポンプが設置されているため、定期的な点検・改修もする必要があります。
貯水槽はメンテナンスにコストがかかることや、貯水槽の設置にある程度のスペースが必要などといったデメリットがあります。しかしながら、災害時には一時的な水を確保することができるため、ご入居者様に「安心」を提供できます。近年では、人々の防災意識も高まっているため、きちんと整備していけば、物件の強みのひとつにもなります。デメリットをカバーする方法としては、貯水槽を撤去して増圧ポンプを導入する方法や、低層のマンションの場合は水道直結型へ切替する方法があります。
給水・排水ポンプの点検、更新
水は生活に大きく関わるので、ほとんどの給水ポンプは1号機と2号機の2つで構成されています。交互に運転して負荷を軽減し、万が一、片方が故障しても水を供給し続けられる設計となっています。
排水ポンプは、地下に溜まった汚水や雑排水をくみ上げ、公共の下水道に排水する機能があります。動作不良があると、地下から汚水のあふれ、大雨の際には排水ができずに浸水する等の被害につながってしまいます。
ポンプの更新は賃貸経営の中でもコストが高く、オーナー様の悩みの種になりがちです。給水ポンプの更新には150~250万円、排水ポンプの更新には100万円ほど必要です。
給排水管の更新
室内をリフォームする際には、給排水管の更新も併せて行っておくことをオススメします。古いままの鉄管に新品のキッチンやお風呂を接続して、見た目だけ綺麗にするリフォーム工事は危険です。
しかしながら、室内工事となるため、入居者がいる状態では実施することが難しいでしょう。退去がある度に、床をはがして給排水管を更新するには多大なコストがかかります。さらに、共用部分にの水道管、壁の中の配管もすべて更新するとなれば、さらに費用が必要になってしまいます。
近年では、水の性質を変化させ、錆を抑制して配管を保護する商品もあります。
計画的にメンテナンスを
給排水管を定期的にメンテナンスをすることで、ご入居者様は安心して暮らすことができ、トラブルの予防もできます。一方で、メンテナンスには費用が必要なのです。
修繕やメンテナンスについての長期的な計画を立て、資金を準備しておくことは、安定した賃貸経営をしていく上で必須とも言えます。「お金を使いたくないから、何か問題が起きてから直せばいいや」と思っていると、突発的な支出も、空室も増えてしまいます。給排水管を含め、まずは建物の現状を把握し、計画を立てていくことを強くオススメします。
▶オススメ関連記事「長期修繕計画の基本とガイドラインの改定」
オススメ勉強会
関連サービス
この記事の執筆者紹介
ミノラス不動産
私たちは次世代へ大切な資産を「守る」×「つなぐ」×「増やす」ために、お客様の不動産継承計画を共に実現させる不動産サポート企業です。