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2022.02.01

長期修繕計画の基本とガイドラインの改定

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 令和3年9月28日 国土交通省は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律の改正を踏まえ、「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」および「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の見直しを発表しました。ここでは、長期修繕計画の基本から改正のポイントまで簡単にご紹介します。

長期修繕計画とは

 長期修繕計画とは、10年後・20年後を見据えて建物を定期的に修繕する計画のことです。

 どんなものでも時間が経てば劣化していきます。もちろん建物も例外ではありません。「不具合が出たから直せばいい」と、無計画に修理をしていると、ご入居者様から苦情が出たり、新たなご入居が決まりにくくなってしまうことも考えられます

 長期修繕計画は「所有する物件の価値を下げないこと」「建物を長持ちさせること」の2つの目的が大きな柱となります。建物の使用状況や構造などによって、修繕が必要となる時期や修繕にかかる費用は変わってきます。目的を達成するためには、適切な時期に適切な修繕をすることが重要です。また、長期修繕計画を立てることで、いつ頃にどれくらいの資金が必要になるかも把握できます。くわえて、建物および設備の性能向上を図る改修工事を行うことも大切です。

 長期修繕計画は、以下のポイントに留意して作成していきます。これに基づいて、修繕積立金の額を設定していく必要があります。

  • 将来見込まれる工事の内容実施予定時期概算の費用等を明確にする。
  • 工事の実施のために積み立てる修繕積立金額の根拠を明確にしておく。
  • 将来見込まれる工事について、あらかじめ合意しておく。(修繕時に円滑な実施ができる)

長期修繕計画は立てて終わらず、「見直す」もの

 長期修繕計画を立てる時に、必要な経費や工事内容をすべて正しく予想するのは不可能でしょう。
 建物の劣化スピードはマンションの立地や日々の管理方法などによって大きく変わります。思った以上に傷みが激しく、新たな修繕項目が発生するケースも少なくありません。 また、新しい材料・工法の開発や物価の上昇、人件費の高騰、増税など社会情勢の変化が工事費に影響することもあります。

 長期修繕計画は25~30年先まで計画を立てます。定期的に計画を見直すことで、修繕積立金の不足・当初の計画との大幅なズレを防ぐことができます。

 長期修繕計画を見直す時には、次のようなポイントに留意しましょう。

緻密な計画を立てすぎない。
 先にも述べたように、計画には経年と共にズレが生じる場合がほとんどです。一度の見直しにはあまり労力をかけすぎず、概算の把握に努めましょう。

▶見直しのタイミングは5~6年+大規模修繕のあと
 計画の見直しは、5~6年を目安に行いましょう。また、大規模修繕後には「現状の積立金で足りるか」確認する必要があります。定期的に見直すことで、常に参考になる計画を持つことができます。

▶将来の修繕費を安く見積もりすぎない
 短期的にみれば、修繕費の低い見積りは修繕積立金の額を抑えられるように思えるかもしれません。しかし、修繕費の増額をしない状態を継続していると、大幅な増額変更を迫られた場合、管理組合や入居者さんから承諾を得ること難しくなり、長期トラブルになる可能性があります。長期的な計画なので、適切なタイミングで費用を計上する必要があります。

ガイドラインで見直されたポイント

以下では、「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」および「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で見直されたポイントについて簡単に紹介します。

長期修繕計画ガイドラインで見直されたポイント

1.望ましい長期修繕計画期間として、今までは25年以上としていた既存マンションの長期修繕計画期間を、新築マンションと同様、大規模修繕工事を2回を含む30年以上とする。

2.大規模修繕工事の修繕周期の目安について、工事事例等を踏まえ一定の幅を持たせた記載とする。※例:外壁塗装塗替え 12年→12~15年、空調・換気設備の取換 15年→13年~17年など

3.社会的な要請を踏まえて、修繕工事を行うにあたっての有効性などを追記。
・マンション省エネ性能を向上させる改修工事(壁や屋上の断熱改修工事や窓の断熱改修工事等)の有効性。
エレベーターの点検にあたり、国土交通省がH28年2月に策定した「昇降機の適切な維持管理に関する指針」に沿って定期的に点検を行うことの重要性。

修繕積立金に関するガイドラインで見直されたポイント

1.適切な長期修繕計画に基づく修繕積立金の事例を踏まえ、目安とする修繕積立金の㎡単価を更新

2.ガイドラインのターゲットに既存マンションも追加修繕積立金額目安にかかる計算式を見直し。
 ※計算式の変更点:既存マンションにおける長期修繕計画の見直し等に用いられることを想定し、すでに積み立てられた修繕積立金の残高をもとに修繕積立金の目安額を算出する計算式に変更

まとめ

 長期修繕計画を立て、定期的に見直していくことで、建物は良い状態で長期間保つことができます。今回のように、今後ガイドラインが見直されることも考えられます。ご自身の建物は該当する箇所があるのか、現在の計画で手が届いていない部分はないかなどについてもぜひご確認ください。

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