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解約済の室内残置物やホコリの被った放置自転車など、「勝手に処分しても問題ないのでは」と考えてしまうことがあるかもしれません。しかし、日本では実力行使(自力救済)は原則として認められておらず、勝手に処分すると損害賠償などのトラブルにつながるおそれがあります。最高裁判例でも、「法律の手続きでは権利侵害を防ぐことが著しく困難な場合に限り、必要最小限の範囲で例外的に認められる」とされています。
つまり、自力救済は原則禁止であり、例外が認められるケースは極めて限定的です。では、実務ではどのように対応すればよいのでしょうか。今回は、残置物への対応についてご紹介します。
1.借主が行方不明になった場合
借主から解約の意思表示がないまま行方不明となり、未払い賃料の督促中に連絡が取れなくなるケースがあります。この場合、賃貸契約は継続しているため、勝手に室内へ立ち入ったり、残置物を処分したりすることは権利侵害にあたり認められません。そのため、多くは未払い賃料を理由として明け渡し訴訟を行い、裁判で解決することになります。
(1)実務ではどう対応するか
| 緊急連絡先が友人の場合 | 契約者本人に代わって契約解除などを合意することは避けます。 |
| 緊急連絡先が親族の場合 | 契約解除や残置物の整理について協力を得られるケースがあります。 ただし、長年絶縁状態などの場合は慎重な判断が必要です。 |
(2)ミノラス不動産で対応した事例
事例①
過去に、子ども(契約者)が行方不明となり、賃料未払いが続いたケースがありました。緊急連絡先兼連帯保証人である父親は契約解除を希望していましたが、本人の意思確認ができないため応じることはできず、家主様に明け渡し訴訟を起こしていただきました。その後、契約者は父親の暴力から逃れるため身を隠していたことが分かり、本人から「室内の物品は父親の判断で処分してよい」という一筆を取得。判決後、父親が残置物を片付け、未払い賃料を精算して解決しました。
事例②
契約者(女性)が行方不明となり、緊急連絡先(母親)からも十分な協力が得られなかったケースがありました。この物件は家主様と弊社のサブリース契約だったため、弊社が未払い賃料を理由に明け渡し訴訟を行いました。強制執行前日に本人から連絡が入り、荷物は本人と友人で引き取りに来られました。後に、彼氏のDVから逃れるため身を隠していたことが分かり、手続きを経て契約を終了しました。
賃貸契約にあらかじめ、契約終了時の残置物は認めず、処分できると定めをしている場合でも、自力救済は違法行為なので、特約の効力は期待できません。
先の事例のように、訴訟で明け渡し判決を取得することが最もリスクが低いですが、その間、家主は賃料も入らず、募集もできない状態になります。実務では、家主が相手方からの異議申し立てリスクを許容し、リスクが低いと判断する場合、荷物を搬出して一時保管し、室内は次の方に貸し出しする準備を進めることもあります。孤独死で相続先が未定、身寄りもなく緊急連絡先が機能しない場合などに多い事案です。
ただし、契約終了後になって、「契約者に貸していた現金が部屋にあった」「預けていた貴金属があるはずだ」などの証言が出た場合、事後対応の方が困難を極めるため、慎重に進める必要があります。
2.契約終了後の残置物
賃貸契約にあらかじめ、契約終了時の残置物は認めず、処分できると定めをしている場合でも、自力救済は違法行為なので、特約の効力は期待できません。
先の事例のように、訴訟で明け渡し判決を取得することが最もリスクが低いですが、その間、家主は賃料も入らず、募集もできない状態になります。実務では、家主が相手方からの異議申し立てリスクを許容し、リスクが低いと判断する場合、荷物を搬出して一時保管し、室内は次の方に貸し出しする準備を進めることもあります。孤独死で相続先が未定、身寄りもなく緊急連絡先が機能しない場合などに多い事案です。
ただし、契約終了後になって、「契約者に貸していた現金が部屋にあった」「預けていた貴金属があるはずだ」などの証言が出た場合、事後対応の方が困難を極めるため、慎重に進める必要があります。
3.保証会社・各種サービスの活用
近年は保証会社を利用するケースが増え、家主様の未払い賃料や明け渡し訴訟に関するリスクは軽減されています。また、サブリース契約なども同様の効果が期待できます。
一方で、家賃保証額の上限や荷物搬出費用、原状回復費用などは契約内容によって異なります。万一に備え、どこまで保証されるのかを事前に確認しておくことが大切です。
また、連帯保証人は借主様と関係が深いため、退去交渉や残置物の整理、借主様との連絡調整など、事後対応において協力を得られるケースがあります。保証会社には契約上の対応範囲がありますが、状況によっては連帯保証人の協力によって、よりスムーズに解決できる場合もあります。
さらに、高齢化に伴い孤独死が社会問題となる中、見守り・安否確認サービスを活用することも、残置物リスクへの備えとして有効です。
4.失敗談
10年以上前、滞納をして夜逃げをした部屋がありました。原状回復のため、室内を確認したところ、不要なものばかりが残置されている状況でした。玄関ドアの外にも、収納ラックや雑多な物品類の残置が確認されましたので、クリーニングの際に全部回収して処分をしました。数日後、隣室の方から「廊下に置いていた私物がなくなった」と連絡を受けました。謝罪とともに、置いてあった物品を写真で照合し、価格サイトで再購入金額を調べ、費用の8割を弁償することで合意しました。
共用部に私物を置かないルールであっても、自力救済した側が圧倒的に分が悪くなります。私自身この経験から、不用意な判断をしないことを教訓としました。

契約書に定めがあっても、借主に著しく不利な条項は有効とならない場合があります。残置物への対応は、証拠を残しながら慎重に進めることが大切です。実務では、明け渡し訴訟による解決が最も安全な方法といえるでしょう。 また、保証会社や管理会社のサービス内容を確認し、日頃から共用部の巡回やご入居者様とのコミュニケーションを心掛けることも、トラブル防止につながります。
賃貸経営では、「知らなかった」が思わぬトラブルや損失につながることがあります。判断に迷う場合は、ご自身で対応せず、お早めに弊社へご相談ください。
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この記事の執筆者紹介
ミノラス不動産
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