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2026.04.01 Minotta掲載記事 税理士執筆 相続対策

青色申告特別控除の見直しと今から始める準備

ミノラスホープ株式会社 税理士 岡田 祐介

 令和8年度税制改正大綱では、不動産オーナー様に関係するさまざまな見直しが示されています。これまでのコラムでは、不動産オーナー様特有の論点について整理してきましたが、今回は個人事業者全般に適用される「青色申告特別控除」の見直しについて取り上げます。

 青色申告特別控除は、帳簿の作成方法や申告方法に応じて所得控除が認められる制度です。不動産オーナー様であれば、10万円控除を最低限として、規模に応じて65万円控除を受けているケースも多いかと思います。

 今回の見直しでは、税務手続のデジタル化を背景に制度の整理が進められており、電子申告(e-Tax)や電子帳簿保存への対応がより重要になっていくと考えられます。

 本記事では、改正の概要と不動産オーナー様への影響について整理します。

1.控除区分の見直しと制度の方向性

 まずは、改正後の内容について現行制度との比較を整理します。

項目改正前
(現行制度)
改正後
(令和8年度税制改正大網)
控除区分65万円・55万円・10万円75万円・65万円・10万円
75万円控除なし電子帳簿保存+電子申告等を満たす場合に新設
65万円控除複式簿記+貸借対照表+電子申告等基本制度として存続
55万円控除複式簿記+貸借対照表制度整理の中で見直し(廃止)
10万円控除簡易帳簿簡易帳簿の場合の控除として存続
制度の方向性帳簿作成の奨励電子申告・電子帳簿保存の推進
表1「現行制度と改正後の比較」

 今回の見直しでは、大きく2つのポイントがあります。

 1つ目は、電子帳簿保存や電子申告を行う事業者に対するインセンティブの強化です。最大控除額を75万円とする新たな区分が設けられ、一定の要件を満たすことで適用される予定です。一方で、書面による提出の場合には、複式簿記を用いていても10万円控除にとどまる可能性があります。

 制度の方向性としては、申告の電子化にとどまらず、帳簿保存についても電子化を進めていく意図が示されています。控除額の差を踏まえると、実質的に電子化への対応が求められる内容といえるでしょう。

2.不動産収入1,000万円超で変わる取扱い

 2つ目のポイントは、不動産収入が1,000万円を超える場合の取扱いです。今回の見直しでは、制度の適正化の観点から帳簿要件の整理が検討されており、不動産収入が1,000万円を超える場合には、簡易帳簿のみでは10万円控除が適用できないよう変更される予定です。

不動産収入帳簿の種類控除額
1,000万円以下簡易帳簿10万円控除
1,000万円超簡易帳簿のみ10万円控除適用不可
1,000万円超複式帳簿+賃貸対照表65万円又は75万円控除
表2「不動産収入が1,000万円を超える場合の帳簿の種類による違い」

 複数物件を保有するオーナー様の場合、家賃収入が1,000万円を超えるケースも少なくありません。そのため、ご自身の収入規模と帳簿管理の状況をあらためて確認しておくことが重要です。

3.今のうちに確認しておきたいポイント

 ご自身の状況を確認するために、以下のチェック項目をご活用ください。

チェック確認項目
青色申告の承認を受けている
複式簿記で帳簿を作成している
貸借対照表を作成している
e-Taxで申告している
電子帳簿保存制度に対応している
不動産収入が1,000万円を超えている
表3「状況整理のチェックリスト」

 これらの項目を確認することで、現在の対応状況と今後必要となる準備が見えてきます。特に次のような対応が重要となります。

  • 会計ソフトによる帳簿作成の導入
  • 複式簿記による経理処理の検討
  • e-Taxによる電子申告の検討
  • 電子帳簿保存制度への対応

 顧問税理士がいる場合は相談しながら進め、ご自身で申告されている場合は税務署への相談も含めて対応を検討することをおすすめします。


 今回の見直しは、控除額の変更に加え、税務手続のデジタル化への対応がより重要になる内容です。適用は令和9年分以降ですが、帳簿管理や申告方法はすぐに切り替えられるものではないため、早めの準備が求められます。確定申告後の今のタイミングで現状を見直し、ご自身に合った対応を検討していくことが大切です。

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この記事の執筆者紹介

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岡田 祐介

ミノラスホープ株式会社 所属・税理士の岡田 祐介(おかだ ゆうすけ)先生です。ミノラス不動産が毎月発行している不動産情報誌「Minotta」にて、相続における税金について、わかりやすく執筆・解説いただいています。

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