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ミノラスホープ株式会社 税理士 岡田 祐介

相続は一度で終わるとは限りません。例えば、父の死亡後に母が相続し、その数年後に母も亡くなるなど、短期間で相続が連続して発生するケースがあります。このような相続を「相次相続」といいます。
同一の財産に対して短期間に相続税が繰り返し課されると、税負担が過大になるおそれがあります。その負担を調整するために設けられているのが「相次相続控除」です。
本稿では、その仕組みと不動産オーナー様にとっての重要性について解説します。
1.相次相続控除の仕組み
相次相続控除とは、前回の相続で課された相続税の一部を、今回の相続税から控除できる制度です。
例えば、父から母へ相続が発生し、その後10年以内に母から子へ相続が発生した場合、一定の条件を満たすことで、前回支払った相続税の一部を控除できる可能性があります。
適用要件
適用を受けるためには、主に次の3つの要件があります。
- 前回の相続から10年以内であること
- 前回の相続で被相続人が財産を取得していること
- 前回の相続で相続税が課されていること
つまり、「短期間で相続が続き、実際に相続税を負担していること」が前提となります。
控除額の考え方
控除額は、次の3つの要素で決まります。
- 前回の相続税額
- 今回取得した財産の割合
- 経過年数(年数が長いほど減少)
計算の考え方は、概ね以下のとおりです。
控除額=前回の相続税額 × 今回取得割合 ×(10年-経過年数)÷10
経過年数が短いほど控除額は大きくなり、10年に近づくにつれて控除額は小さくなります。
2.不動産オーナー様にとって重要な理由
不動産を保有されている場合、この制度の重要性は特に高くなります。その理由は以下の3つです。
①評価額が大きくなりやすいから
賃貸不動産を複数保有している場合、土地・建物の評価額が大きくなり、相続税額も高額になりやすい傾向があります。そのため、短期間での二次相続における税負担は非常に重くなります。
②配偶者への集中相続が起こりやすいから
一次相続では、【配偶者の税額軽減】や【小規模宅地等の特例】を活用することで、配偶者に多くの財産を集めるケースが一般的です。しかしその結果として、二次相続(配偶者死亡時)で一気に課税される、相次相続控除がなければ過大な税負担になるという構造になりやすいのです。
③不動産は分割しづらい
金融資産と異なり不動産は分割が難しく、共有化や売却、納税資金不足といった問題を引き起こしやすくなります。
以上のことから、相次相続の可能性を踏まえ、一次相続の段階でどこまで対策を講じるかが重要となります。
3.実務上の注意点
「自動適用」ではない
相次相続控除は、申告によって適用される制度です。適用漏れがあると、そのまま過大納税となる可能性があります。
前回の申告内容の把握が必須
相次相続控除を検討する際には、前回の相続税申告書、財産明細、税額計算資料などの資料が必要になります。特に、取得割合の確認に関わるため、前回の申告資料は大切に保管しておくことが重要です。
不動産評価との関係
前回(一次相続)と今回(二次相続)では、地価変動や評価方法の違いがあるため、単純比較はできません。したがって、税額ベースでの調整である点に注意が必要です。申告が必要である点、前回資料の保存、評価差異への理解が重要です。
相次相続控除は、「短期間で相続が重なることによる過大な税負担」を調整する重要な制度です。特に不動産オーナー様の場合、【資産規模が大きい】【配偶者集中型になりやすい】【分割が困難】といった特性から、二次相続の影響が大きくなります。そのため、相続は「一度きり」としてではなく、「連続するもの」として捉え、計画的に設計する視点が不可欠です。
具体的には一次相続での分散や資産組み替え、法人化検討が有効であると考えられます。本コラムを通じて、相次相続の控除という制度があることを知っていただくことで、ご自身の相続において起こりうる事象を洗い出しするよい機会となれば幸いです。
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この記事の執筆者紹介
岡田 祐介
ミノラスホープ株式会社 所属・税理士の岡田 祐介(おかだ ゆうすけ)先生です。ミノラス不動産が毎月発行している不動産情報誌「Minotta」にて、相続における税金について、わかりやすく執筆・解説いただいています。

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