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2026.06.01 Minotta掲載記事 税理士執筆 相続対策

建築途中で相続が発生した場合の評価方法

ミノラスホープ株式会社 税理士 岡田 祐介

 賃貸マンションやアパートの建築中に相続が発生した場合、「まだ完成していない建物」はどのように相続税評価されるのでしょうか。

 近年は、大田区でも建替えや賃貸住宅の新築による相続対策を進めるオーナー様が増えており、建築途中で相続が発生するケースも珍しくありません。

 建築中の建物であっても、工事の進捗状況によっては相続税評価の対象となります。完成していないから評価されないというわけではないため、あらかじめ考え方を理解しておくことが大切です。

 今回は、建築中家屋の相続税評価について、評価方法や注意点を分かりやすく解説します

1.建築中でも相続財産になる

 建築途中であっても、相続開始時点までに工事が進んでいれば、その出来高部分は相続財産として評価されます。つまり、次のような状態であっても、「建築中家屋」として相続税評価が必要です。

  • 未完成
  • 未入居
  • 固定資産税評価額が未設定

 不動産オーナー様では、次のようなケースが代表例として挙げられます。

主なケース内容
賃貸マンション建築中相続対策として新築中
アパート建替え老朽化による建替え
賃貸併用住宅自宅兼賃貸住宅の建築
法人化後の新築資産管理会社を活用した建築
表1「建築中家屋となる主なケース」

2.建築中家屋の評価方法

 建築中の家屋は、原則として「費用現価の70%」で評価します。

建築中家屋の相続税評価額=相続開始時点までの建築費用 ×70%

 ここでいう建築費用には、着工金、中間金、出来高相当額、設計費、一部付帯工事費などが含まれます。一方で、未施工部分や今後支払予定の工事費については、原則として評価額には含まれません。

3.具体例でみる相続税評価

 例えば、次のようなケースを見てみましょう。

  • 建築総額・・・2億円
  • 相続時点の工事進捗・・・50%
  • 出来高相当額・・・1億円

 この場合の相続税評価額は、1億円 ×70%=7,000万円となります。完成後の建物評価より低くなる点は、建築中家屋の評価における特徴の一つです。

4.借入金との関係が重要

 不動産オーナー様の場合、建築資金を借入によって調達するケースが一般的です。建物が完成していなくても、中間金などを支払っている場合には、建築中家屋の評価額と借入残高に差額が生じることがあります。

 このような考え方は、賃貸建築による相続対策で活用されることもあります。ただし近年は、相続直前に行われた建築案件について、税務署が実態を確認するケースも増えています。過度な節税を目的としたものと判断されないよう、計画的に進めることが重要です。

5.土地評価にも注意

 建築中は、建物だけでなく土地の評価にも注意が必要です。特に問題となりやすいのが、「いつから賃貸用の土地として評価されるか」という点です。例えば、貸家建付地評価を適用できる時期や、入居募集を開始した時期などによって、評価方法が変わる場合があります。

 建物だけではなく、土地評価との整合性も確認しておくことが大切です。

6.実務上の注意点

 建築中の相続では、資料不足によるトラブルも少なくありません。そのため、次のような資料は整理して保管しておくことが重要です。 

資料名記載されている主な内容
工事請負契約書契約金額・工期
出来高明細工事の進捗状況
請求書・支払記録支払済金額
工程表建築状況
借入資料債務控除の確認

 建築中の建物であっても、相続開始時点までに工事が進んでいれば、相続税評価の対象となります。また、建築中家屋は70%評価となることや、借入金との関係、土地評価との整合性など、不動産オーナー様が知っておきたいポイントが数多くあります。

 新築や建替えを検討されている場合は、建築計画だけでなく、相続が発生した場合も見据えて、工事の進捗状況や関係資料を整理しておくことが大切です。

 相続対策は、ご家族の状況や資産内容によって適切な方法が異なります。疑問や不安がある場合は、早めに専門家へ相談しながら進めると安心です。

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この記事の執筆者紹介

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岡田 祐介

ミノラスホープ株式会社 所属・税理士の岡田 祐介(おかだ ゆうすけ)先生です。ミノラス不動産が毎月発行している不動産情報誌「Minotta」にて、相続における税金について、わかりやすく執筆・解説いただいています。

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