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2026.06.01 Minotta掲載記事 空室対策

「家賃収入」だけでは分からない!NOIで見る賃貸経営の収益力

 賃貸経営では、家賃収入だけでなく、空室や滞納による収入の減少、物件の維持・管理にかかるコストなども含めて、実際にどれだけの収益が残っているのかを把握することが重要です。
 同じ戸数・同じ家賃設定の物件でも、空室率や運営コストの違いによって、最終的な収益力には差が生まれます。

 そこで今回は、賃貸経営の収益力を考えるうえで知っておきたい「GPI」「EGI」「NOI」の3つの指標を取り上げ、具体例を交えながら、空室率の違いが収益にどのような差を生むのかを考えてみます。

 目次

  1.空室対策が必要な理由

  2.収益力を測る代表的な指標
   ――(1)表面利回り
   ――(2)実質家賃収入(EGI)
   ――

  3.空室率による収益の違い

  4.まと

1.空室対策が必要な理由

 安定した賃貸経営を続け、物件を守りながら次の世代へつないでいくためには、家賃収入を安定して確保することが欠かせません。

 しかし、空室が発生すると、その期間は家賃収入が得られません。さらに滞納が発生すれば、本来得られるはずの収入も減少します。空室や滞納によって収入が減少しても、賃貸経営を続ける上では、固定資産税や定期清掃費、共用部の光熱費など、空室の有無にかかわらず発生する費用があります。加えて、借入がある場合には、その返済も続きます。

 空室期間が長くなれば、それだけ収入を得られない期間が増え、物件の収益力にも影響します。だからこそ、空室をできるだけ長引かせないための対策が重要になります。

2.収益力を測る代表的な指標

(1)表面利回り

 収益力を測る代表的な指標の一つが「表面利回り」です。物件価格に対して、年間でどれくらいの家賃収入が得られるかを示す指標で、売買物件の募集資料にもよく記載されており、購入時の判断材料として広く使われています。

 ただし、表面利回りは年間満室を前提とした家賃収入(GPI)をもとに計算するため、空室や滞納による収入の減少、物件の維持・管理にかかる費用などは考慮されていません。そのため、表面利回りが高くても、実際に得られる収益が同じように高いとは限りません。

(2)実質家賃収入(EGI)

 実際の家賃収入がどれくらいになるのかを把握するには、空室や滞納による収入の減少も考慮する必要があります。そこで、GPI(年間満室想定賃料)から空室損や滞納損失などを差し引いた「実質家賃収入(EGI)」を算出します。

 空室や滞納が増えるほどEGIは低下するため、満室想定だけでは分からない、実際の家賃収入の状況を把握できます。

(3)純営業収益(NOI)

 賃貸経営では、家賃収入を得るために、物件の維持・運営にもさまざまなコストがかかります。主な運営コストには、修繕費、原状回復費、共用部の光熱費、火災保険料、定期清掃費などがあります。

 また、不動産オーナー様には、固定資産税・都市計画税など、物件を所有していることで継続的にかかる税金もあります。

 実質家賃収入(EGI)から、物件の運営にかかるコストや継続的にかかる税金などを差し引いたものが「純営業収益(NOI)」です。NOIを見ることで、実際にどれだけの収益が残るのかを把握できます。

 ただし、運営コストは単純に削減すればよいというものではありません。必要な修繕や維持管理まで削減すると、入居者満足度の低下につながり、結果として空室の増加を招く可能性があります。

 ミノラス不動産では、運営コスト率をGPIに対して20%以内とすることを一つの目安としています。

3.空室率がNOIに与える影響

 下記は、同じ戸数・同じ賃料条件のA物件とB物件を比較した例です。

表1「空室率の違いによる収益比較」

 A物件は空室ロス5%、B物件は空室ロス10%で設定しています。空室ロスが5%違うことで、A物件のEGIは1,140万円、B物件は1,080万円となり、60万円の差が生じています。

 さらに、運営コストを差し引いたNOIで比較すると、A物件は974.3万円、B物件は919.2万円となり、年間55.1万円の差が生じます。NOI率で見ても、A物件は81.2%、B物件は76.6%となり、4.6ポイントの差があります。

 このように、同じ戸数・同じ賃料設定の物件でも、空室率の違いによって、最終的に残る収益には大きな差が生まれます。


 賃貸経営では、満室想定賃料だけを基準にするのではなく、空室や滞納を抑えながら、必要な修繕や維持管理を行い、収益を安定させていくことが大切です。

 そのためにも、GPI・EGI・NOIなどの指標を活用し、現在の物件の収益状況を把握しておくことが、今後の空室対策や収益改善を考えるうえで役立ちます。

 「いくら家賃が入るか」だけでなく、「いくら収益として残るか」という視点を持つことが、安定した賃貸経営のポイントです。

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