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2022.04.07

高齢者の受け入れについて

総人口に対しての高齢者人口、過去最高

 総務省が2021年に発表した「統計からみた我が国の高齢者」によると、日本の総人口は2021年に比べ51万人減少する一方で、65歳以上の高齢者人口は2021年に比べ22万人増加し、過去最多となりました。これは、総人口に対して29.1%を占める数値です。日本の高齢者人口の割合は、201の国と地域の中でも最高となっています。(2021年9月現在)

また、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、高齢者の割合は今後も増え続け、第2次ベビーブーム期世代が65歳以上となる2040年には、高齢者の割合は総人口の35.3%にまでのぼると想定されています。

 大田区が発表している「年齢別人口報告表資料」によると、大田区の総人口は2022年1月現在で728,703人です。65歳以上の高齢者人口は165,660人で総人口の22.7%を占めているのです。

 そこで今回は、空室対策としての「高齢者の受け入れ」についてまとめます。不安があるオーナー様にとって、検討していただけるきっかけになれば幸いです。

オーナー様が高齢者の賃貸入居を拒んでしまう理由

 国土交通省の調査によると、約7割のオーナー様が「高齢者世帯の入居に拒否感がある」と答えています。前述したように、今後さらに高齢化は進んでいきます。高齢者のご入居に備えていかなくてはならないと言えるでしょう。

 では、なで、多くのオーナー様が高齢者の受け入れに消極的なのでしょうか。主な3つの理由を紹介します。

1.家賃について
 「家賃を継続的に支払える収入があるのか」「認知症で家賃を滞納されてしまうのではないか」という不安が理由の1つです。特に、「賃貸住宅で生涯を終えたい」と考えている高齢者の場合、年金生活になるでしょう。こういった背景から、不安に思うオーナー様はたくさんいます。

2.親族について
 だれでも、突然体調を崩すことはあります。しかし、高齢者の場合は、大量や免疫力が低下しているため、例えば風邪でも重症化することがあります。もし、ご入居いただいている高齢者が一人暮らしの場合、体調を崩しても看病・介護ができる親族がいるのかが、不安要素となっています。

3.孤独死について
 そして、特に懸念されているのが「孤独死」です。先に説明したように、高齢者は体調を崩す可能性が高いです。さらに、一人暮らしの場合は助けを求めることができず、孤独死してしまうことがあるのです。いわゆる「事故物件」になると、告知義務が発生したり、ご入居いただきにくくなる…といった理由から、高齢者のご入居に不安を感じている方も少なくありません。

グラフ1 内閣府 令和3年版高齢社会白書 4生活環境より

 グラフ1は、2009年~2019年の「東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数」を示したものです。2009年の2194人から年々増え続け、2019年には3936人と大幅に増加しています。もしも、孤独死が発生した場合、遺族や警察への連絡、クリーニングや残置物処理などの原状回復業務のほか、場合によっては、遺族や連帯保証人への原状回復費用の請求も行う必要があります。

 故人に親族や連帯保証人、身元引受人がいるならお願いもできますが、全く身寄りがない場合はそうはいきません。「部屋の契約はどうすればいいんだろう」「残っている荷物は誰が片づけるんだろう」とオーナー様の悩み・不安の種になってしまいます。

高齢者を受け入れるメリット

 グラフ2は、2020年下半期の首都圏の平均居住期間を世帯の種類別に表したものです。高齢者を見ると、6年以上続けてご入居している方は63.5%もいます。さらに、4~6年続けてご入居している方も21.6%と高い数値を表しています。

 このグラフからもわかるように、高齢者は長期間入居が見込まれるのです。高齢者は仕事を引退していることが多く、転勤・転職もないため、引越しをする必要がないのです。そのため、長く住み続けてくれる可能性が高く、オーナー様にとってはメリットといえます。

 グラフ3は高齢者の住居の状況を示したものです。82%が持ち家に住んでいますが、単身世帯では11.6%もの高齢者が賃貸で生活をしていることが分かります。

 初めに述べたように、高齢者の数は年々増加し、さまざまな不安を理由に高齢者を受け入れない賃貸が多いのです。高齢者を受け入れると空室対策として有効であり、ライバル物件との差別化にもなると言えます。

高齢者を受け入れる事前準備

 先にお伝えしたような不安要素があるため、高齢者の受け入れには消極的になってしまいがちです。しかし、事前準備をしておくことで不安を減らすことは可能です。

1.連絡が取りやすい環境を事前に整えておく
 事前に緊急連絡先や身元引受人の連絡先が分かっていれば、何かあった時に速やかな連絡が可能です。オーナー様を悩ませてしまう残置物の処理や、原状回復費用の支払いなどの解決をスムーズに行うことができます。また、亡くなった方の連帯保証人に対しては、連絡先を把握するだけでなく、保証人としての意思や資力があるのか、前もって確認しておくことが重要です。

2.保証会社や保険会社を利用する
 もし、高齢者であるご入居者様が家賃を滞納してしまった場合、代わりに家賃を負担してくれる会社を利用するのも良いでしょう。身寄りのない入居者の場合ですと、連帯保証人がいないこともあるので、家賃滞納の不安があるのであれば、検討するべきでしょう。

 また、孤独死保険というものが最近では多く存在します。大きく分けて「家主向け」「入居者向け」の2種類の加入方法があるので、どちらに対してもメリットがあると思います。いざという時に備えて加入することをオススメします。

▶関連ニュース「国交省が公表 事故物件のガイドラインが高齢者受け入れの追い風に

まとめ

 オーナー様にとっては、今まで受け入れに戸惑いがあった高齢者層に対しても、各種新しいサービスを活用することで、より積極的な空室対策も可能になりました。改めて、人口減の現在でも、入居者数が増えている高齢者層の入居対策について、考えてみてはいかがでしょうか。

【前半編】
https://youtu.be/1AC5NqBaft4
【後半編】
https://youtu.be/1mr64MQrZNU

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ミノラス不動産

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