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賃貸経営の法人化 3つの方式
▶関連記事はコチラ「賃貸経営の法人化~メリットと注意点~」
賃貸経営を法人化をしようとする場合、この法人化した不動産管理会社には3つのタイプがあります。
- 1.管理委託方式:不動産を全く所有せず、個人から管理委託のみを受ける
- 2.一括転貸方式:いったん建物を一括して借り上げて第三者に転貸する
- 3.不動産所有方式:不動産を所有する
この3つのタイプの中で、相続対策、特に節税という観点で法人設立を行う場合には、3.所有方式が一番効果的です。
1.管理委託方式
設立した会社が不動産の管理業務のみを行い、不動産オーナーから管理料をもらうという形です。法人の設立で一番多いのがこのパターンで、土地の所有も建物の所有も個人で、会社はこの個人から管理委託契約によって建物や土地、駐車場などの管理委託を請け負うことになります。
この方式は、相続対策の中でも「節税」に対しての対策としては少し弱いと言えます。節税対策とするためには、個人資産を少しでも多く会社に移すことがポイントです。しかし、この形態の不動産会社にすると、管理料という形で資産を移すことになります。管理料の相場は家賃収入の5~10%と言われており、あまりにも高額な管理料を設定すると税務署からチェックが入る可能性があります。
2.一括転貸方式
賃貸不動産を設立した会社に貸し、会社が入居と契約を行う方式です。賃料は設立した会社が回収しますが、回収した賃料から不動産の管理料を引いて不動産オーナーに支払う形です。結果的に①の管理委託方式と同じ効果を生むことになります。
3.不動産所有方式
建物の所有者を法人にして土地の所有者は法人から地代を受け取る方式です。
1.管理委託方式 2.一括転貸方式のメリット・デメリット
メリット
- 家賃収入を賃貸住宅の所有者ではなく、法人を通して家族に分散できるため、実効税率を下げ、所得税・住民税を少なくできる。
- 役員が法人から受け取って給与は、給与所得控除をうけることができる。
- 家賃収入を分散できるため、相続財産の増加を抑えることができるとともに、将来の相続税の納税資金に充てることができる。
- 法人としての節税対策や税制上のメリットが受けられる。(生命保険や共済の法人加入が可能、損失繰越期間が9年間 など)
デメリット
- 法人設立に最低でも20~30万円ほどの費用が掛かる。
- 赤字でも毎年約7万円の法人住民税が掛かる。
- 毎年の申告のため、税理士報酬が掛かる。
- 所得の分散ができるのは、法人が受け取る管理料、手数料は限度のため、賃貸住宅の規模によっては節税効果が限られる場合がある。
3.不動産所有方式のメリット・デメリット
メリット
- 家賃は全額不動産保有会社に入るため、所得税の分散効果は3つの方式の中で最も大きい。
- 役員が法人から受け取った給与は、給与所得税控除を受けることができる。
- 所得税の実行税率が法人税の実行税率を超えた場合には、税額を引き下げることができる。
- 地代の支払いと税務署への「無償返還の届出書」の提出により、土地の相続税評価が貸宅地として自用地の80%で評価される。
- 不動産保有会社の株主を相続人にすることにより、財産の移転ができるので相続税対策となる。
デメリット
- 建物の所有権移転により、登記費用・不動産取得税が掛かる。
- 法人設立に最低でも20~30万円ほどの費用が掛かる。
- 赤字でも毎年約7万円の法人住民税が掛かる。
- 毎年の申告のため、税理士報酬が掛かる。
- 賃貸住宅部分の借入がある場合、相続税の債務控除ができない。
不動産所有方式は、管理委託方式や一括転貸方式と比べると建物の所有権移転を行う必要があるため、設立の難易度は高くなります。
まとめ
いずれの方式でも法人化を検討する場合には、事前に設立・運営のための費用と節税好感度のメリットとを比較することが重要です。また、税務上の判断が難しい場面もありますので、法人化を検討されている場合には、専門家や税理士に一度相談してみることをオススメします。
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