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前回は適正なメンテナンスについてご紹介しました。今月はもう少し踏み込んで実際の事例を交えて建物メンテナンスについて考えてみたいと思います。
建物のメンテナンスについての考え方は、①予防、②矯正、③繰り延べの3パターンあります。①予防メンテナンスは、計画的に起きうる問題を想定して対処しておくことです。②矯正メンテナンスとは、緊急を要する工事など事象が起きてから修理を行うメンテナンスです。③の繰り延べメンテナンスは、今後売却や取り壊しなどが予定されており、何らかの原因で必要なメンテナンスを延期することです。
すでにお分かりかと思いますが、望ましいのは①の予防です。②矯正は、一般的に時間的制約があるので検討時間が少なくなったり、修理費も割高になったりすることがあります。③繰り延べは、上に書いたような計画的なものであれば仕方がないかもしれませんが、資金的に余裕がなく繰り延べされている状態は、賃貸経営上で何らかの課題があるケースが多いため、プロのアドバイスをもとに改善する必要があります。
予防メンテナンスの例
賃貸経営の場合、
- 建物の外壁・共用部の修繕
- 室内の修繕・設備投資・リフォーム
- 日常的な共用部の維持管理
の大きく3つに分けて計画立てすることが望ましいです。
当社では上記3つを長期修繕計画を用いて提案しています。外壁修繕であれば、5年、10年、15年などの周期ごとに予め必要な金額を認識しておくことで積立や生命保険、修繕共済への加入など対策をとることができます。賃貸住戸も経年により競争力が下がり、世間の新築がグレードアップすることは賃貸経営では避けることができませんので、築15年~20年を区切りにリフォームを計画しておきます。
比較的大きなお金が動くため、もう少し悪くなってから・・・等の理由をつけ、少しでも先延ばしにしたいという思惑も生まれるのですが、長期保有を前提としているオーナー様の場合は計画的に実施することのメリットの方が多いと断言できます。
目に見えないので実感しづらいのですが、緊急メンテナンスが間違いなく減り長期的にコスト削減ができています。建物寿命も見えない部分で延びています。建物寿命が延びた分、賃貸住戸も長く貸すことができ、リフォームも早期に実施すれば投資コストに対してのリターンを長期間受取ることが可能になります。
もしお持ちのマンションが築40年で、退去時に高額のリフォームの見積もりが出た場合、前向きにリフォームに踏み切れるでしょうか?決断を保留したり、貸し出さない選択をしたり、仕方ないと思いながらリフォームに踏み切ったりなど、計画的にメンテナンスしていないと、後ろ向きな判断になってしまう可能性があります。
逆に、予防メンテを繰り返していたことで、退去時にほとんど家賃が下落せず貸せる、建物(躯体)もまだまだ使えるのであれば、賃貸経営での心理的負担は少ないだけでなく、後継ぎの方にも安心して資産承継ができることは簡単に想像できると思います。
日常的なメンテナンスは、法令で定められているものや建物維持に必要なもの、またはその両方があります。日常的な見回りや清掃、設備機器の点検など遵法性、安全性(快適性)の順番で実施する必要があります。
1985年の新宿ビル火災では遵法性を欠いたために多くの方が亡くなりました。2017年の豪雨では十分な防災対策やメンテナンスが行われていない建物に水害が集中しました。2021年の則武地所による八王子のアパート階段崩落事故もコンプライアンス意識の欠如から起きた人災です。レオパレスの建築不備問題が起きた時、個人の入居者だけでなく、法人1棟借りしていた企業も社員の安全を第一に、他物件への住み替えを行い、入居率が著しく下落しました。逆に適切なメンテナンスや建物維持は、入居者の満足度を上げ、長期入居につながる可能性があることが分かります。
管理会社を切替していただいた例
12月に管理を切替いただいた写真の物件では、管理会社が池袋と遠方だったため見回りが十分にできておらず、建物メンテナンスの契約を締結しているものの、外注先に作業を任せきりにしていたため、各フロアの共用部には既に退去したテナントの備品が置いたままになっていたり、廊下の汚れがこびりついていたり、排水溝には鳥の糞やゴミなどが溜まっていたり等、ビルメンテナンス経費が活かされていませんでした。
地元の当社に管理を切り替えていただいたタイミングで、各テナントに告知とヒアリングを行い、不要な残置物を撤去、共用部の特別清掃を実施して積年の汚れを除去、エレベーター内のマットはカゴにあわせた寸法で特注して設置、その他のメンテナンス内容はそのまま引き継ぎ、過去の実施内容を見て、当社が品質をコントロールできるように業者さんを入れ替えました。
結果的にメンテナンス総額が安価になり、近場の当社が対応することで管理品質も向上できたので、オーナーさんに喜んでいただけました。
また、防犯カメラが古くなっていたので新たにリースの提案を行い、導入することになりました。
今後はビルのアプローチのサイネージやEVまわりの壁紙、外壁含めてエントランスまわりの塗装なども提案し、テナントに長く借りていただけるような商業ビルにできるように管理を続けていきたいと考えています。
賃貸管理の業務も社会的ニーズの変化により、仲介や契約だけでなくトータル的なサポートが求められるようになりました。これからも地域密着の管理力、提案力を強みとして物件価値向上の提案に努めます。メンテナンス業務の切り替え相談も常時受け付けしております、記事を読んでのご質問や不明点などもお寄せください。
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この記事の執筆者紹介
ミノラス不動産
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