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2024.05.18 相続承継 節税対策

【相続対策コラム】相続対策と所得税対策②

前回のコラムから引き続き2つ以上の対策を同時に達成したいと考えた場合に気を付けていただきたい点について説明していこうと思います。
今回のコラムは「法人化」について触れていきます。
金融機関やコンサルティング会社からの提案として耳にされたことのある方もいらっしゃるかと思いますが、相続の節税対策として「法人化」を進める場合の留意点をいくつか解説していきます。

法人化について

そもそも「法人化」が相続税の節税対策となるのはなぜでしょうか。
それは法人が所有する財産は当然法人のものであり、個人のものではなくなるため相続財産に含まれなくなるためです。
また、株式会社を設立する場合にはその出資者として株式を保有する株主が必要となりますが、株主が不動産オーナー様ご自身である必要はなく、次世代の方を株主にすることもできるため株式すら保有しないことも可能となります。
以上のように財産の切り離しを行うことができる「法人化」は相続税の節税対策として有効といえ、提案されることが多くあります。
また、「法人化」を行うことで他にも得られるものがあります。
それは所得の分散と税率差による節税効果です。
法人を作るとなると株主と役員を決める必要があります。株主は上記の通り次世代にすることで保有財産からの切り離しを行うことができますが、役員も同様に次世代にすることで役員報酬として本来皆様に貯まり相続財産の一部となる現預金も次世代へ移転することができるようになり、所得の分散効果が期待できます。
更に納税資金の対策としても意味のあることだと思います。
そして保有されている物件の規模や物件数によっては現在高額な所得税を納税されている方もいらっしゃるかと思います。
所得税は超過累進税率という所得金額に応じて税率が変動していく税金になりますので、最高税率では住民税と併せて50%以上の税率になってしまいます。
一方で法人税は税率が一定であり、800万までの所得までは優遇されていますのでこの税率の差によってメリットを享受できる可能性があります。
ここまでの効果があると「法人化」を行うべきという結論になってしまいそうですが、留意しなくてはいけない点があります。

所得分散後の税金負担

1つ目の留意点は所得分散後の税金負担です。法人から現預金を渡すとなると給与が一般的になります。その対象となる次世代の方が会社員であるとすると渡した給与と合算して所得税を計算することとなります。
先に説明したように所得税は超過累進税率が採用されていますので合算後の所得がどの程度になるか試算しておかないとご家族全体としての税負担が増加してしまう可能性があります。
それでは給与を支給しなければとよいという考えもありますが、その場合には法人に利益が残ることになりますので法人税が課税されることとなります。ご自身が高所得者であれば税率差でのメリットがあるため法人税で課税されても不利にはならないかもしれませんが、税率によっては不利に働く可能性がないよう試算しておくことが必要となります。

譲渡所得税と手残り

2つ目の留意点は譲渡所得税と手残りです。
過去のコラムでも触れていますが、法人化する場合にはご自身が保有されている不動産を法人に売却することになると思います。
その際に売却価額はいわゆる時価ということになりますので、譲渡所得税が発生する可能性が高くなります。
特に相続により取得した不動産であると売却価額から差し引ける原価(帳簿価額)が著しく小さいこともあるかと思いますので、譲渡所得税がどの程度になるかという試算は行う必要があると言えます。
譲渡所得は5年超保有している場合には住民税を合わせて20.315%となります。
譲渡による収入を超えることは当然ありませんが、手残りが減ることは認識しておく必要があります。更に手残りという意味で言うと売却した不動産に借入金があるかどうかによりその後の相続対策が異なってきます。
借入金がある場合には譲渡に伴って返済を行う必要がでてきますので、上記の譲渡所得税や諸経費を差し引いて返済が可能であるかを試算しておく必要があります。
また、ない場合には上記の譲渡所得税控除後の金額が手元に残ることとなり、当該資金が相続財産になりかわります。上記の通り売却の際は時価となりますので路線価や固定資産税評価額といった相続税計算上の評価よりも高くなる可能性があるため、当初よりも相続税が発生してしまう可能性が出てきます。
その場合には当該資金を元に新たに不動産を購入するなど新たな相続税への対策が必要となるため留意が必要です。
そのほか税金の話ではありませんが、譲渡所得が大きくなるとその翌年の医療費の自己負担額が3割負担に上がるなどの面もあります。

前月のコラムでも書きましたが、すべての対策法にはメリットとデメリットがあります。
そのため相続対策の計画段階でどの対策に重きを置くかという優先順位付けも行っていただくことは重要になってきます。
特に今回ご紹介した「法人化」は効果が期待できる反面、影響が多方面に出てくるものとなります。そして影響の出方は皆様の所得や所有財産、年齢などによって異なることから、各々での試算、シミュレーションが非常に大事になるということをご理解いただければと思います。

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この記事の執筆者紹介

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ミノラス不動産

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