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2020.10.10

生前贈与を活用した相続税対策

 相続税対策を考える上で柱となるのが「生前贈与」「生命保険」「不動産」の3つです。さらにその他の対策もあるため、「どう対策をすれば良いのか…」と悩む方が多いのが現状です。

 様々な方法がある相続税対策ですが、比較的簡単にできるものや節税効果の高いものがあるので、自分や家族にとってベストな対策をすることが重要です。相続税の節税効果と各対策のリスクを慎重に検討した上でどの相続税対策を実行するのかを検討するべきですが、その前に必ず実施すべきことがあります。それは「相続税がいくらかかるのかを試算すること」です。

 将来の相続税がいくらかかるのかによって相続税対策は異なり、相続税の額を知ることでどの程度まで節税対策が必要かということも分かってきます。相続税がいくら程度かかるのかを知った結果、「これくらいの相続税だったら節税対策は不要だ」「思ったよりも相続税がかかるからしっかり節税対策したい」等、人によって相続税に対する考え方は異なるはずです。

そこで今回は、相続税対策の柱のひとつ「生前贈与」について、基本的なポイントをお伝えします。

1.毎年コツコツ110万円贈与

 生前贈与については、年間110万円以内であれば贈与税がかからない基礎控除枠があるため、子や孫に年間110万円以内の金額の生前贈与を実行することで毎年贈与した分が非課税となります。生前贈与の方法は、現金渡しでも預金振込どちらでも問題ありません。しかし、預金振込の方が証拠が残るため、後で税務署から指摘されたときにも贈与の事実を証明しやすいです。

2.相続時精算課税制度で収益不動産を贈与

 相続時精算課税制度を利用して、賃貸不動産を子や孫に贈与して、賃料収入の蓄積を防ぐ相続税対策です。将来、相続税が発生する方は、なるべく相続発生時に財産を減らしておいた方が相続税が少なくて済みますが、定期的な賃料収入があると相続財産が増えていきます。

 そこで、収益不動産を贈与することで、賃料収入が子や孫に入ることになり、祖父母や親の相続財産の蓄積を防ぎながら財産を子や孫のものにすることが可能となるのです。相続時精算課税制度は、60歳以上の祖父母や親から20歳以上の子や孫への贈与については、2,500万円まで贈与税がかからないという特例です。

3.教育資金贈与で1,500万円まで非課税に

 教育資金の一括贈与特例にもとづき、信託銀行等の金融機関が取り扱う教育資金贈与信託を活用して、子や孫に1,500万円までの範囲内で教育費の一括贈与を行う方法です。教育資金に使うためであれば、金融機関のサービスを利用することで、一括で1,500万円まで贈与することができます

 例えば、これから学費がかかるお孫さんがいる祖父母が、この特例を使って教育資金の援助を行うと、1,500万円まで一括で贈与をしても贈与税が無税になるためメリットがあります。

4.おしどり贈与で配偶者に贈与  

 おしどり贈与の特例を利用して配偶者に自宅を2,110万円分まで贈与する方法です。おしどり贈与の特例とは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産の贈与又は居住用不動産を取得するための資金の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで贈与税が無税になる特例です。

 生前贈与は利用しやすい対策ですので多くの方が実施されていますが、誤った方法で生前贈与をしてしまうと後々税務署から指摘を受けて思わぬ税金を支払わなければならない可能性があります。特に贈与をしたのであれば贈与をした側は贈与した財産の管理を行ってはいけません。通帳の管理等を贈与者側で実施してしまうと、結局贈与していないことと同じとみなされてしまうからです。

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