お役立ち情報
大切な資産を「守る」「つなぐ」「増やす」ために
役立つ不動産の市況や経営の情報をご紹介
1年間の経費計画を立てる
これから、昨年の確定申告の準備をされるオーナー様も多いと思います。その際、昨年の実績から今年の経費計画を立ててみてはいかがでしょうか?
キャッシュフロー
経費計画を立てる際、物件のキャッシュフローを正しく理解することが必要です。キャッシュフローとは『収入から支出を差し引きした収支、手元に残るお金の流れのこと』です。
下の表は、船井総合研究所が会員企業全国82社の管理会社の取引オーナーからランダムに選出した物件のキャッシュフローの平均値を表した、2018年のデータです。キャッシュフローが適正かどうかの判定は、表の下のポイントを参照、確認してみてください。
キャッシュフロー分析まとめ | 平均 |
---|---|
総居室数 | 17.37 |
空室数 | 1.65 |
平均家賃 | ¥63,836 |
総潜在家賃収入(GPI) | ¥14,960,616 |
▲空室ロス | ¥1,413,052 |
実質家賃収入(NGI) | ¥13,547,564 |
▲運営費用(OPEX) | ¥3,551,190 |
営業純利益(NOI) | ¥9,996,374 |
▲年間返済額(ADS) | ¥8,912,239 |
税引き前キャッシュフロー | ¥2,569,508 |
空室ロス率 <10%以下> | 9.84% |
運営費用率 <20%以下> | 25.18% |
営業利益率 <70%以上> | 64.97% |
税引き前キャッシュフロー率 <15%以上> | 22.25% |
返済倍率 <130%以上> | 158.31% |
損益分岐点 <75%以下> | 67.90% |
■空室ロス率は総潜在収入の10%以下
表の結果(平均値)は9.84%、約30%の物件が空室ロス10%以上でした。
■運営費用率は総潜在収入の20%以下
表の結果(平均値)は25.18%と適正範囲外でした。選出サンプルに修繕費のかかる築古物件が多かったことが起因している可能性があります。
■営業利益率は総潜在収入の70%以上
表の結果(平均値)は運営費が適正より多いため64.97%と適正範囲外でした。
■税引き前キャッシュフロー率は総潜在収入の15%以上
表の結果(平均値)は22.25%、ただサンプル内には赤字物件も全体の13%ありました。
■返済倍率は営業利益÷返済額が130%以上
表の結果(平均値)は158.31%と適正範囲内でした。20%の物件で返済が終了しており、借入の残る物件の41%で基準値外となりました。
■損益分岐点は(運営費用+年間返済額)÷総潜在収入が75%以下
運営費とローンの合計が家賃の75%以下であれば◎です。表の結果(平均値)は67.90%と適正範囲内でした。一方で残りの約32%は損益分岐点以下ということが分かり、収支バランスが崩れています。
「確定申告は税理士さんにお願いしている」というオーナー様も、一度ご自身で物件のキャッシュフローを表にしてみることをオススメします。都内であれば空室ロスは10%以上は少ないですが、運営費用(コスト)は何%なのか、借入返済額は何%なのか、具体的に計算してみることで、新しい気づきが得られる可能性があります。
所得税について
昨年度の実績がおおむね把握できたら、次は税金について考えてみます。下記は、個人の場合の所得税速算表です。ご自身の物件の所得税は、表の中でどの税率区分に該当しますでしょうか?
課税される所得金額(A) | 所得税率(B) | 控除額(C) | 税額=(A)×(B)-(C) |
---|---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 | (A)×5%-0円 |
195万円以上 330万円以下 | 10% | 97,500円 | (A)×10%-97,500円 |
330万円以上 695万円以下 | 20% | 427,500円 | (A)×20%-427,500円 |
695万円以上 900万円以下 | 23% | 636,000円 | (A)×23%-636,000円 |
900万円以上 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 | (A)×33%-1,536,000円 |
1,800万円以上 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 | (A)×40%-2,796,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 4,796,000円 | (A)×45%-4,796,000円 |
仮に年間の課税所得が2,000万の場合を考えてみます。この時、上記の表の「1800万円以上 4,000万円以下」の項目に当てはめて計算していきます。
■何もしない場合の税金
2,000 × 0.40 - 279.6 = 520.4万円
■計画していた修繕費200万を使った場合の税金
1,800 × 0.33 - 153.6 = 440.4万円(上記との差は80万円)
実質、200万の修繕が80万円引き(40%OFF)で行えていることと同様の効果が得られています。
コロナ禍で、在宅される方が増えてきているため、一段とセキュリティ対策、宅配ロッカー等のニーズが増しています。毎年、人気の設備ランキングが発表されていますので、そういった調査にもアンテナを張っておくことをオススメします。今年は経費計画を作成し、余力があれば物件への設備投資をしてみてはいかがでしょうか?
オススメ勉強会
関連サービス
この記事の執筆者紹介
ミノラス不動産
私たちは次世代へ大切な資産を「守る」×「つなぐ」×「増やす」ために、お客様の不動産継承計画を共に実現させる不動産サポート企業です。