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大規模修繕の進め方~見積もりを比較~
大規模修繕の進め方①に続き、今回は具体的に修繕内容を知り、見積を理解して比較するという観点で記載してみますので、参考にしてください。
建物診断をしてもらう
見積もりを依頼する時には、施工業者に依頼して建物診断書を作成してもらいましょう。修繕が必要な箇所については、写真付きで報告書をもらうといいでしょう。建物診断結果が細かく記載されていると、隅々まで点検を行う業者であると判断できます。各修理箇所がどの程度の緊急性があるのかも把握でき、意思決定しやすくなります。さらに、修繕方法が適切に記載されている、安心して注文することができます。
共通の仕様書を作成し、業者さんに見積もりを依頼する
現場確認で必要な修繕と緊急性が把握できたら、同じ内容で2~3社に見積もりを依頼します。大規模修繕では必要な費用が高額になるためです。依頼の際は、相見積もりで検討したいという旨を添えて伝えておくことも大切です。その時の留意点としては、比較しやすいように同じ仕様・内容で見積もりを取得することです。また、施工業者により得意としている分野(塗装、防水、足場など)が違いますので、施工業者の特徴(得意分野)を把握することも重要です。
併せて「他に修繕が必要な箇所があれば、提案ください」と伝えておくと、プロの視点で+αの提案がもらえる場合があるため、お勧めです。
提案型の業者の方が、「言われたことしかやらない」業者よりも融通が利き、アフターフォローもしっかりしている場合が多いので、業者を選ぶ上でのポイントの1つになるのではないでしょうか。
頻出工事の内容について理解する
見積を読み解くには、各工事項目の作業内容と相場を理解しておくと良いです。例をいくつか挙げておきますので、参考にしてください。※年数はおおよその耐久年数です。
■防水工事
シート防水 | 10~12年 | 3,000~5,000円/㎡ |
ウレタン防水 | 12~15年 | 4,000~6,500円/㎡ |
FRP防水 | 12~15年 | 6,000~8,000円/㎡ |
アスファルト防水 | 15~20年 | 6,000~8,000円/㎡ |
■外壁塗装工事
アクリル塗料 | 5~7年 | 1,300~1,600円/㎡ |
ウレタン塗料 | 8~10年 | 1,700~2,200円/㎡ |
シリコン塗装 | 10~15年 | 1,800~2,500円/㎡ |
ラジカル塗料 | 12~15年 | 2,500~3,000円/㎡ |
フッ素塗料 | 15~20年 | 3,000~4,800円/㎡ |
光触媒塗料 | 15~20年 | 4,200~5,000円/㎡ |
■その他頻出工事
ビケ足場 | 700~1,000円/㎡ |
本足場 | 1,200~1,500円/㎡ |
無足場(ブランコ工法) | ブランコ用架台の設置費用 |
飛散防止シート | 100~400円/㎡ |
外壁高圧洗浄 | 300~500円/㎡ |
薬品洗浄 | 700~1,000円/㎡ |
シーリング(打ち増し) | 700~1000円/㎡ |
シーリング(打ち替え) | 1,000~1,800円/㎡ |
タイル浮き打診検査 | 200~600円/㎡ |
タイル浮き掃除 | 10,000円/㎡~ |
比較表の作成
各業者さんにより、得意な部分が違うため、項目により高い・安いがあるのは仕方ありません。内装リフォームは、水回り、エアコンなどの設備、クロス張替え、クリーニング、建具など、業者さんごとに分離発注することで安価に抑える工夫が可能ですが、外装リフォームの場合は素人では分離発注は不可能です。総合力で一番良いと思える業者さんを選びましょう。
その際におすすめしていることは、各項目ごとの比較表の作成です。金額と作業内容の両方で、松竹梅のように3パターンに分類することで判断しやすくなります。
※右記の表を参考にしてみてください。
取得した見積書を、表1のように工事に必要な項目に分けて表にします。見積を出してくれる施工業者さんによって、項目内容が異なっていたり、単価が変わりますので、整理することで各施工業者さんの強みも一目で分かるようになります。
そして、大規模修繕は足場・塗装・防水・タイルなど、オーナー様が施工業者さんを分離発注することができないため、元請け業者を選定する際は、金額だけでなく工事内容もしっかりと吟味し、コストパフォーマンスが最も良い施工会社へ依頼することをお勧めします。
その他の工夫
その他のポイントとしては、外壁修繕と一緒にやった方が効果的なものを探すことです。具体的には以下のようなことが検討できます。
- 掲示板の交換
- 宅配ボックスの設置
- バルコニーの避難ハッチの交換
- 屋根のアンテナのメンテナンス
- 植栽計画の見直し
- ポストの交換
- 廊下に長尺シートの貼り付け
- 電灯をLEDに変更
- 館銘板のデザイン変更
- エントランスの美化
また、足場があるうちに行った方が良いものとして、エアコンの交換に足場が必要なケース(新築時に屋上に室外機を置いているケース)や、給湯器の交換に足場が必要なケースなどは、いざ故障時に緊急性が高いにも関わらず、施工に手間とお金がかかるので、検討したほうが良い場合があります。
さらに、塗装の費用は変わらないので、色味をそのまま塗り直すよりは時代に合わせた色に塗り直すことも検討してみると、第一印象が変わりお勧めです。
大規模修繕は、分譲マンションでは長期修繕計画書を作成して計画的に実施されていますが、賃貸マンションの場合にはオーナー様の資金的な面もあり、計画的に実施されていないケースがあります。建物全体の修繕を後回しにしていると劣化が進行していき、結果として通常よりも多額の修繕費が必要になることもあります。計画的に大規模修繕が行えるよう、長期修繕計画の作成をお勧めします。
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