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このコラムでは、借地権にまつわる底地・借地のトラブルに関する判例をご紹介します。底地は収益性が低く、相続時の評価が高いため、将来的に相続の際に大きな負担となる可能性があります。次世代へ問題を先送りにせず、底地借地関係の解消を検討されることをおすすめします。

経緯
地主のBさんは、法定更新となっているAさんに対し、借地契約書に明記されている「契約期間終了後は無償で返還する」という特約に基づき、契約の更新はないとして土地の返還を求めた。これに対しAさんは、そのような特約は無効であると主張した。
法定更新とは:借地借家法の規定により、契約期間満了時に、賃貸借契約が自動的に更新されること
借地人(Aさん)の主張
- ・借地権者として正当に土地を使っており、契約は法定更新されている。
- ・契約書に「無償返還する」と書かれていても、それは法的に無効。
- ・よって、地主は私に土地の返還を求めることはできない。
地主(Bさん)の主張
- 契約期間はすでに終了しているため、借地契約書に明記されている「無償返還」の特約に基づき、早期の明け渡しを希望する。
裁判所の判断
裁判所は、借地契約における「契約期間終了後、建物所有を理由とする借地権の更新を認めず、無償で返還する」という特約であっても、建物所有を目的とする通常の借地契約の性質に反し、借地借家法の趣旨にも照らして、公序良俗に反し、この特約が無効となる可能性があるとしました。
- 借地人が実際に建物を所有し続けていたこと
- 契約期間の終了後も使用を継続していた事実があること
契約の実態(更新意思の有無)などを総合的に考慮し、この「無償返還特約」は信義則および借地借家法の趣旨に反するとして、無効と判断しました。
【最高裁 平成14年6月10日判決】
今回のケースでは、借地契約において「契約期間終了後は無償で返還する」とする特約が、借地借家法の趣旨に反し、公序良俗に違反するとして無効と判断された事案です。
借地人が建物を所有し、使用を継続している限りは契約が法定更新されるとされ、形式的な特約よりも当事者の実態が重視された点が特徴的です。
しかしながら、当事者間でどのような合意が成立していたか、個別の事情によって判断が異なる可能性もありあます。契約内容の作成や更新にあたっては、慎重に判断することをおすすめします。
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この記事の執筆者紹介

ミノラス不動産
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