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このコラムでは、借地権にまつわる底地・借地のトラブルに関する判例をご紹介します。底地は収益性が低く、相続時の評価が高いため、将来的に相続の際に大きな負担となる可能性があります。次世代へ問題を先送りにせず、底地借地関係の解消を検討されることをおすすめします。

経緯
Bさんが(土地利用者)は、Aさん(土地所有者)に無断で借地上の建物を第三者に貸し、そのまま長期間使用させていた。Aさんはこれを「無断転貸」として契約違反を主張し、借地契約の解除と土地明渡しを請求した。
土地所有者(Aさん)の主張
- 借地契約では転貸には土地所有者の承諾が必要と定めていた。
- にもかかわらず、Bさんは無断で第三者に貸し出した。
- この行為は重大な契約違反であり、契約を解除する正当な理由になる。
借地人(Bさん)の主張
- Aさんは転貸の事実を以前から知っていた。
- しかし、何年もの間、一度も異議を唱えず、地代も受け取り続けていた。
- そのため、今さら無断転貸を理由に解除するのは信義に反する(信義則違反)。
裁判所の判断
裁判所は、以下の判断を下しました。
- Aさんの承諾を得ずに第三者に転貸したことは原則として契約違反であり解除の理由となり得る。
- 土地所有者はその転貸を長年にわたって把握していながら黙認し、地代の受領も続けていた。
このような対応は信義則に反し、土地所有者の解除権の行使は認められないと判断。結果、土地所有者の解除請求は無効とされました。
【最判 昭和49年(オ)第120号(昭和49年7月19日)判決】
今回のケースでは、土地所有者様サイドからは無断転貸を発見した時点で、即座に異議を通知し、是正を求める行動を取らなければなりません。長期間黙認し、地代の受領を続けると、たとえ契約違反があっても解除権の行使が封じられるおそれがあるため、契約違反の兆候を見逃さず、早期対応・証拠保全を徹底することをおすすめします。
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この記事の執筆者紹介

ミノラス不動産
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