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このコラムでは、借地権にまつわる底地・借地のトラブルに関する判例をご紹介します。底地は収益性が低く、相続時の評価が高いため、将来的に相続の際に大きな負担となる可能性があります。次世代へ問題を先送りにせず、底地借地関係の解消を検討されることをおすすめします。

経緯
土地所有者であるAさんは、長年地代の増額改定ができていなかった。その間に、経済成長によって、物価・地価・固定資産税が上昇し、Aさんの税金などの負担が大きくなってしまった。これを理由に、「現行の地代では安すぎる」と主張し、土地所有者が土地利用者に対して増額を請求した。
土地所有者(Aさん)の主張
- 近隣の地代相場に比べて現行地代は著しく低い。
- 物価や固定資産税も上昇しており、このままでは公平を欠く。よって、過去の負担額を考慮し、大幅な地代改定を要求する。
- 借地借家法11条に基づき、地代の増額改定が相当である。
土地利用者(Bさん)の主張
- 借地契約で地代はすでに合意済みである。
- Aさんの請求は一方的で、土地利用者の生活に過大な負担をかける。
- 地代が上がるとしても、Aさんが言うような大幅増額は不合理である。
裁判所の判断
裁判所は、以下の判断を下しました。
借地借家法11条により、地代は「相当の地代」に増減できるとしている。その判断基準として、近隣の地代相場物価水準公租公課(固定資産税など)土地の利用状況・収益性などを総合考慮するとしている。
→Aさんの主張する 大幅増額は否定
→しかし、従来の地代水準のままでは公平性を欠くのは事実として、地代水準相当と認める限度で増額を命じた。
【最判昭和43年5月21日】
今回の事例は、土地所有者が地代増額を請求 → 土地利用者が反発 → 裁判所が「相当の範囲」で調整して増額を認めた、過去の代表的な事例です。
地代は固定ではなく、経済事情の変動に応じて見直し可能なものの、土地所有者の言い値が通るわけではありません。話し合いで解決しない場合には、最終的には裁判で「相当額」を判断することとなります。土地所有者側からすると「裁判を起こしても思ったほど増えない」ケースがある一方、土地利用者側は「完全拒否は難しい現状」を知っておくことが大切といえます。
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この記事の執筆者紹介

ミノラス不動産
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