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2022.06.06

遺言の効力

司法書士ゆかり事務所 司法書士 荻島一将

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 遺言は、生前に自己の財産を誰に対してどのように遺すか、といったことを記載しておく文書ですが、遺言において、特に法律で定められた事項を指定しておくと、死後にその効力を発生させることができます。

 今回は、遺言で指定することによって生じる、遺言の様々な効力についてご紹介します。

相続人の廃除

 民法には、遺言者の相続人になるべき人(「推定相続人」といいます。)を廃除して、相続権を失わせる制度が規定されています。相続権を廃除するくらいの話ですから、やみくもに廃除が認められるわけではなく、その要件はかなり厳しいものです。推定相続人が、遺言者に対して、虐待や重大な侮辱、その他著しい非行を行っていた場合、その推定相続人を遺言により廃除し、相続権を消失させることができるとされています。

 遺言で廃除を行った場合、遺言執行者が家庭裁判所に対して廃除請求をして、それが認められた場合に、その廃除の効果が発生することになります。

※廃除(はいじょ):遺留分を有する推定相続人の相続権を、家庭裁判所の審判によって剥奪する制度

認知

 遺言者に、法律上の婚姻関係にない女性との間に子がいる場合、遺言でその子を認知することができます。認知とは、簡単にいうと、正式に自分の子であることを認めることです。遺言者が死亡して相続が発生すると、遺言により認知された子は、遺言者たる被相続人の子として、相続人に加わることになります。

未成年後見人の指定

 遺言者が未成年者の子の単独親権者で、自身が死亡してしまうと子の親権者がいなくなってしまうという場合、遺言で信頼できる第三者を後見人として指定することができます。遺言者の死亡後の、子の財産管理等を信頼できる方に委ねることにより、子の資産等を保護する趣旨です。

配偶者居住権の設定

 配偶者居住権とは、残された配偶者が、居住していた建物に住み続けることができる権利のことですが、この権利を遺言で設定することができます。

 遺言者が配偶者に居住建物を相続させる場合には、その配偶者は当然にその建物に居住できるので、このような権利を設定する必要はありません。しかし、様々な事情により、例えば遺言者が配偶者ではなく、自身の子に、自分と配偶者の住んでいる建物を相続させたいけれども、配偶者には自分の死後も居住中の建物に住まわせたい、という場合に、遺言により配偶者居住権を設定すれば、残された配偶者は、引き続き、居住している建物に無償で住み続けることができるようになります。

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遺言執行者の指定

 遺言者が自身の財産等の分配について遺言で指定しておいても、しっかり遺言が執行されなければ、遺言者の希望を実現することはできません。そこで、遺言を作成する際には、信頼できる遺言執行者を指定しておくことがとても大切です。

 遺志実現のため、正確な内容の遺言を作成するとともに、適切な遺言執行者を遺言で指定しておくことで、遺産相続やその他遺言で指定された様々な遺言者の希望の実現が可能になります。

まとめ

 遺言は、遺産相続にかかる様々な事項を指定しておくことができますが、大切なのはその遺志が確実に実現できるようにすること。遺言の作成は、遺言者ご自身のご事情や希望を明確にし、財産を正確に把握したうえで、それぞれに必要で適切な内容のものを作成しておくことが肝要です。

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